産みたいをアシスト 芽室病院で活躍する助産師たち まちマイ芽室編
「ママたちが満足できるお産をして、楽しく子育てをして、『もう一人産みたい』と思える手伝いをしていきたい」
公立芽室病院の助産師中山由香里さん(53)は、同病院産婦人科の在り方をこう語る。
同病院は十勝管内の町村でお産ができる唯一の医療機関。早くから母乳育児に取り組み、2008年にはユニセフ(国連児童基金)などが進める「赤ちゃんにやさしい病院」の認定を受けた。出産そのものだけでなく産前、産後、退院後の育児まで含めて、母親と子供をサポートするところも特徴だ。
産前には妊婦自身がどのようなお産を望んでいるのか主体的に考えてもらい、病院はできる限りその希望に応える。退院前にはお産を振り返ってもらい、担当助産師とゆっくり話し合う。思い通りのお産がかなわず悩む母親もいるが、助産師がそれに共感し、認めることで、自信を取り戻していく。中山さんは「お産で挫折感を抱えたままでいると、母乳もよく出ないし、その後の子育てにも悪い影響がある」と話す。
退院後も母子と病院との関係は続く。3人の子供を持つ中山さんをはじめ子育て経験豊富な助産師も多く、母親にとって同病院は子育ての悩みをなんでも相談できるいわば“駆け込み寺”。毎日のように電話をかけてきたり、来院したりする母親も少なくない。
そんなとき中山さんらは助産師としてアドバイスするだけでなく、先輩ママとして子育ての大変さに共感し、楽しさを共有する。中山さんは「何人でも産んでほしいから、お母さん一人ひとりをすごく大事にしたい。ここには、ちょっとおせっかいなお産婆さんがいるような雰囲気がある」と笑う。(丹羽恭太)
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