モンゴル貯蔵庫建設に向け研修生 同友会とかち支部
国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業を使って北海道中小企業家同友会とかち支部(山本英明支部長)が取り組むモンゴルの農産物貯蔵施設事業で、同支部の会員で建設業の大地(幕別町、林秀康社長)は7月中旬、現地で同施設の工事に着手する。8月にも完成させ、十勝の技術で野菜類を越冬できるようにする。建設を前に、同国からの研修員2人が同社で施工技術などを学んでいる。
同事業の目的は、寒冷地の十勝で普及している断熱効果の高い貯蔵施設をモンゴルに建て、農産物を計画的に出荷できる体制を整えること。建設場所は首都ウランバードルから北に120キロのボルノール村で、現地企業の協力も得て施工する。
貯蔵施設は実験施設の位置付けで、鉄骨平屋建て床面積150平方メートル。高さは最大で3・3メートル。定温庫部分と倉庫部分に分け、倉庫部分は農産物の選別や加工ができるようなスペースとする。同国は真冬は氷点下40度という極寒で、壁には12センチの断熱材を入れ、定温庫は気温2、3度を下回らないようにする。
工事費約800万円。ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、タマネギなどを貯蔵する予定。
建設前の技術研修として、同国で農業を経営するインタースカイユニオン社のバーサンジャブ・バトムンフ社長(31)と、機械製造や鉄工業などのバルマッシュ社の技術員オソル・エルデネバトさん(42)が来勝。5月19日から大地などで、同社社員と一緒に作業をしながら、設計図の見方や現場施工技術などを学んでいる。今月27日に帰国する。
バーサンジャブさんは「モンゴルでは農産物貯蔵施設がないので、収穫して安い価格ですぐに販売しなければならない。建設する際に役立つよう設計図を見て理解し、工事に必要な手順を学びたい」とし、溶接を実際に訓練するオソルさんも「モンゴルでは経験のない半自動の溶接機を使い、毎日が技術の取得になっている」と話す。
同事業の期間は3年間。林社長は「小規模の農家が生産した物を集め、農協のようなグループ化、流通・小売りに卸すシステムも提案したい」としている。
(関坂典生)
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