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ニジマスは放流できなくなる? 「指定外来種」選定に賛否 

管内河川に放流されたニジマス。釣りの対象魚として人気が高く、「指定外来種」指定の議論が注目されている(4月、塩原真撮影)

 ニジマスは放流できなくなる?。道が今年度から選定作業に入る「指定外来種」に、十勝でも釣りの対象として人気が高いニジマスが入る可能性があるとして、議論が起きている。釣り愛好者や養殖業者らからは「すでに生態系に組み込まれている」「ニジマス釣りは北海道の文化」などと指定に反対する意見が出るが、国が今年度まとめる「侵略的外来種リスト」に入る可能性も高く、道が専門家を交えて始める議論の行方が注目されている。

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 「指定外来種」は、道が昨年3月に制定した「北海道生物の多様性の保全等に関する条例」で規定。「生物多様性に著しい影響のある種」として指定されると、本来の生息地や生息地以外に放つことが禁止され、中止命令に違反すると罰則も定められている。

 道は今年3月に同条例に基づく「外来種対策基本方針」を発表し、「原則として明治時代以降に導入」など指定外来種候補の条件を示した。具体的な候補選びは、近く検討委員会を設置して作業に入る予定。道生物多様性保全課は「年度内に最初の指定を目指す。優先度、緊急性の高いものから取り組む」としている。

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 ここでニジマスが指定されるかどうか注目される。ニジマスは北米原産の「外来種」だが、道内への導入は約100年前の1917年(大正6年)と古い。十勝を含む道内各地で放流され、自然繁殖もしている。

 しかし、イトウやオショロコマなど在来種と産卵場所が競合することなどから、国は外来生物法で「生態系に悪影響を及ぼしうる」と「要注意」に分類。道も2010年作成の外来種リスト(ブルーリスト)で「A2(生態系に大きな影響を及ぼし、防除対策の必要性を検討)」と分類した。さらに道によると、国が現在作成中の「侵略的外来種リスト」に入る可能性も高いという。同課は指定外来種の選考は「ブルーリストと国のリストの両方を参考にする」としている。

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 こうした状況に、釣り人らを中心に指定に反対する動きが起きている。道の基本方針に対するパブリックコメントでは、「100年前に導入されて市民権を得ている」「指定は社会的、経済的損失が大」「駆除は不可能」などの反対意見が多数寄せられた。

 このほか反対の署名約2万5000人分や請願書も道に届いた。一方、同コメントには「在来種が深刻な影響を受けており、一刻も早く無制限の放流を制限すべき」などと、指定に賛成する意見も届いている。

 約40年間、親水公園(札内川)と十勝川にニジマスを放流してきた釣り愛好団体「帯広ルアーアングラーズ」(会員38人)の加藤孝夫会長は「放流事業が禁止されれば大人だけでなく子供たちの楽しみまで減ってしまう」と指定に反対する。

 管内の養殖業者も影響を懸念する。約10万匹を飼養し、ニジマス料理も提供する山女魚園(清水)の太田博樹代表は「100%(ニジマスが養殖場から外に)逃げなくするのは難しい。指定されると(養殖)事業は難しい」と心配する。

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 一方、指定に反対しながらも地域や流域ごとの対応を求める意見もある。糠平湖でニジマスを放流するNPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターの河田充代表は「豊かな自然、もともとの生態系を取り戻す大目標が現実的に達成できるならば、オショロコマと競合するエリアに限定しては賛成する」と述べる。

 道は指定に当たっては、社会的・経済的影響や防除の実施可能性なども考慮するとする。十勝総合振興局環境生活課は「具体的な話はこれから。現段階では全く白紙」としている。

 (小林祐己、小縣大輝、津田恭平)

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