ペット業界と福祉がタッグ、障害者の就労を支援へ
「動物の力×福祉」で障害者が楽しく働ける場を-。帯広市内のペット業界経験者と福祉関係者がタッグを組み、障害者が働くペットショップを市内にオープンさせた。全国的にも珍しい取り組みで、対人関係が苦手などの理由で仕事が続かなかった障害者の受け皿としても期待される。
5日にオープンしたのはペットショップ「いきものがかり」(西1南7)。制度上は就労継続支援B型事業所の区分で、知的・精神・身体の各障害者が働く経験を積みながら、就労に必要な訓練を受ける。主な営業内容は小動物販売、ペットホテル、犬の散歩代行サービス、熱帯魚の水槽清掃サービスなど。
運営する「株式会社つながり」の社長北村直也さん(33)は、もともと市内のペットショップで店長を務めていた。接客している中で、「動物には不思議なプラスの力があると感じ、その力は医療や福祉とマッチングすると思っていた」。ショップの元部下で、福祉業界に転職した池田大祐さん(31)=同社常務、生活支援員=を通じて、福祉畑一筋の菅原光利さん(34)=同社専務、サービス管理責任者=と知り合い意気投合。3人で福祉とペットを事業内容とする同社を3月に立ち上げた。
株式会社にした理由について北村さんは「ボランティアではなく、きちんと利益を上げて還元したい」、菅原さんは「障害者が働いているからという“情け”で利用してもらうものにはしたくない」と話す。
店では販売する小動物の管理、ホテルに預けられたペットの世話、犬の散歩、接客、清掃など幅広い業務があり、障害者には適材適所で業務に就いてもらう。「就労支援施設を利用することに負い目を感じる必要はない。楽しく働いて、きちんと稼ぎ、自立した生活を送ってほしい」(北村さん)との思いで、障害者を“利用者”ではなく、“社員”と位置付け、一人ひとりに名刺も作る。
事前に施設見学を行ったところ、2時間、3時間と動物と触れ合ったり、北村さんのお株を奪うほどの爬虫(はちゅう)類の知識を披露する“社員候補”も。菅原さんは「僕たち支援員は当事者のモチベーションを上げるために話す時間を設けるが、動物はそこに居るだけで当事者のメンタルの部分が上がる。支援員の仕事がなくなるかも」とペットの力を実感。北村さんは「好きなことだから続けられるというのは僕たちも同じ。楽しさを売りに、仕事が楽しいから続けられる店にしたい」と話す。
販売はハムスター、ウサギ、鳥類、カメ、熱帯魚など。ペットホテルでは犬、猫以外の動物も受け入れ、料金は1日1500円から。散歩代行は1回300円からで、送迎サービス(各100円)もある。開設時間は午前10時~午後7時。問い合わせは同店(0155・99・1082)へ。(丹羽恭太)