移住者の横顔 まちマイ池田編
人に歴史あり-。都会にはない豊かな自然や静かな環境などを求めて、池田にやってきた移住者の横顔を紹介する。
新潟県佐渡市から移住し染織に取り組む
萩原真理子さん(68)
「作業に集中している時間が一番幸せ」。旧青山小の教員住宅で一人静かに糸と向き合う。
室蘭市出身。24歳で結婚し、佐渡に渡った。そこで佐渡の「さっこり」(裂織)に出合う。職人的な性格が織物には合っていた。義父母の最期をみとった後、川島テキスタイルスクール(京都)で染織の基礎を学んだ。
染織の魅力にはまり「島外で仕事として織物に関わりたい」との思いを強くしていたとき、池田町に巡り合った。自活するという約束で佐渡に夫を残し、18年前に1人で移り住んだ。
十勝で出会ったアイヌ刺しゅう家の高田絹代さんの依頼で、草木染めの糸を作ることがライフワークになった。原始布にも興味があり、イラクサから糸を紡ぐ作業も進める。原点である裂織の大作も手掛けたい。
昼はJA十勝池田町で豆の選別に携わり、染織作業は仕事が終わってから。「いま一番欲しいものは時間」。創作意欲は尽きない。(丹羽恭太)
町清見で画廊喫茶「ムーン・フェイス」を営む
杉山雄作さん(63)知子さん(53)夫妻
「良い景色を見て感動したものを、ぱっと画面に映し出せる」と透明水彩の魅力を語る2人。雪景色や広い土地を求め、知人からの勧めもあり、3人の子供と雄作さんの父親の計6人で1992年、東大阪市から移り住んだ。
作品を展示しようと始めた喫茶は今年で10年目を迎えた。町民からの応援も多く、知子さんは「この町を盛り上げてほしいという感じがした」と当初を振り返る。
喫茶を通じたたくさんの人との出会いや触れ合いを大切にする。水彩教室も開いており、「生徒との関わりも刺激。教えることで自分の勉強にもなる」と雄作さん。
20代半ばに透明水彩を始めた雄作さんは池田に来てから絵の色調が変わり、透明感が一層際立つ作品が増えたという。知子さんも雄作さんに透明水彩を習い、「色がきれい。水のにじみ方も面白い」とすっかりとりこに。
旅行に行っては一緒に絵を描くことも多いという2人。「絵に力を入れていきたい」と今後の生活を思い描く。(津田恭平)