切っても切れない関係~人の気配
周りにいる人を紹介しながら、音楽業界のさまざまな職業について書いてきた。しかし、最も身近とも言えるマネジャーやレーベル担当者についてはまだ書いていない。書こうと思わなかったのは、おそらく身内過ぎるからだろう。彼らについてどう書くべきかと考えてしまう。
ふと気がついた。以前の担当者ならば書くことができるのではないか。今回は20代にやっていたリディムサウンター時代と、ソロになってからの最初の約6年間、合わせると15年近く共に作品を作ってきた山口隆弘さんを紹介したい。
マネジメントとレーベルというのは別々の職種と言える。簡単に説明すると、バンドやミュージシャン本人の活動を考えるのがマネジャーの仕事であり、レーベルはCDやレコード、今では配信も含まれるが、リリースに関わる事業が主である。しかし、その線引きは曖昧で、同じ会社がやっていることも少なくない。山口さんが勤めるのはレコード会社だが、途中からマネジメント業も引き受けて、僕のサポートをしてくれていた。
今現在、僕は別の会社にお世話になっている。理由はこのスペースでは書ききれないが、紹介するくらいなので関係は良好である。年は彼が上だが、決して多くはない友達のひとりだ。元マネジャーの友達という特殊な関係だから相談できることがある。単発の仕事を一緒にすることは今でもあるし、進行中のプロジェクトもある。切っても切れない関係である。
一つの場所にとどまらずとも、きっと死ぬまで友達でいられるだろう。血の通った人間同士の付き合い。そういう人に出会えたのも音楽のおかげだ。それは偶然だろうか? 僕はそうは思わない。山口さんが気に入ってくれた新曲『Roll A Die』でもそう歌っている。
<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。帯広柏葉高卒。Riddim Saunterを解散後、ソロ名義での活動を続け、V6への楽曲提供も話題となる。ニューアルバム『Like A Diary』のリリースツアー北海道編は、6月7日札幌、8日東川、アコースティックで開催。