さよなら上厚内駅 浦幌町
建物解体作業始まる
【浦幌】昨年3月に廃止されたJR北海道の旧上厚内駅舎の本格的な解体作業が、15日始まった。現存する数少ない木造駅舎として鉄道ファンらに長きにわたって親しまれたが、まもなく姿を消す。
1910年に信号所として開設。26年に一般駅に昇格、53年に改築され、旧国鉄時代の駅舎のたたずまいを今に伝えていた。解体後は信号場となる。
道内の鉄道愛好家団体メンバーで江別市の会社員丸山裕司さん(53)は「時代の流れとはいえ寂しい。駅の物品は博物館に提供されると聞くので、上厚内駅の記憶が後世に伝えられることを願う」と話した。
JR北海道釧路支社によると、解体作業は10日に足場を設置し、15~19日に駅舎などの建物を解体、26日までに整地し作業を終える。
駅名標や運賃表乗車券保存箱、待合室ベンチなど約20点は浦幌町立博物館に資料として提供された。
同博物館の持田誠学芸員は「小さな町が、産業遺産や古建築を継承していく厳しさを感じる。道内の鉄道は縮小傾向にあり、鉄道関係資料の確実な収集と保存が課題になる」と話している。(内形勝也)