足腰の強さみせた十勝農業(総括) 農業TOKACHI
天候、災害に悩まされるも3000億円維持へ
2018年は、初夏の天候不順や9月の胆振東部地震による停電に見舞われ、小麦、豆類の作柄や生乳生産量に影響が及んだ。JA取扱高は大豊作だった昨年には及ばない見通しだが、なんとか3000億円は維持できそう。十勝農業の足腰の強さをうかがわせた一方で、酪農分野を中心として災害への弱さも明るみになった1年だった。
管内のJA取扱高は昨年、台風被害により落ち込んだ16年から復活。過去最高の3388億円を記録し、今年はさらなる飛躍が期待されていた。
しかし、6月、7月の低温と長雨で、小麦は受粉が進まず、実が膨らみきらなかったため収量が減少。豆類は初期生育が確保できなかったことが最後まで響いた。ジャガイモやビートは昨年を下回ることが予想されるが、小麦や豆類に比べ落ち込みは少ない。
また、胆振東部地震では安定的な生乳生産への課題が浮き彫りになった。停電で搾乳できなかった農家があったほか、搾乳できても乳業メーカーが操業できず、生乳の受け入れが滞った。
搾乳できず、乳房炎になった牛も数多く発生。天候不良で牧草の出来が悪かったこともあり、それまで前年同月を上回っていた生乳生産量は、9月に前年を割った。
それでも今年の取扱高は過去2~3番目の水準になると期待され、改めて十勝農業の力強さが示された。ただ、災害への弱さは、21年に生産額3500億円を目指す農業界にとって重要なポイントになりそうだ。さらなる競争力向上へ、災害に強い生産体制構築が必要となる。(農業TOKACHI取材班)
◆十勝農業の1年を総括
・農業TOKACHI2018-十勝毎日新聞電子版特設ページ
◆農業特集
・農+ビジネス北海道-「農+ビジネス北海道」サイト
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