市緊急メール1社だけ 避難発令2時間半後
台風10号に伴う避難情報を住民に周知するために、帯広市が発信した緊急速報「エリアメール」が当初、一部の携帯会社の端末にしか届いていなかった。市のマニュアルの不備が原因。また、避難情報の発令からメール発信まで最大約2時間半を要していた。
15日の帯広市議会総務委員会(菊地ルツ委員長)で、藤澤昌隆氏(公明)、村田光成氏(市政会)がただした。
市は8月30日午後8時に札内川沿いの住民を対象に避難準備情報を発令した際、初めて同メール発信を試みた。2012年に策定したマニュアルに従い、担当者がパソコンで携帯会社3社それぞれの送信用のホームページにログインしようとしたが、NTTドコモ以外はログインできなかった。
発信操作を担う市総務課によると、ソフトバンクとauの2社のページが変更されていたことを把握しておらず、マニュアルに反映していなかったため。結局、1社のみ発信できたのは約2時間半後の同10時26分だった。
31日午前2時半には札内川沿いに避難勧告を発令。この際は、道の災害情報共有システム(Lアラート)を通じて同メールを発信しようとしたが、作業を進めている最中の同3時45分には十勝川沿いの住民も避難勧告対象に。両川沿いの勧告をまとめて発信したのは同4時24分で、札内川沿いの勧告発令から約2時間が経過していた。
同課は「マニュアルに不備があった上、初めての操作に不慣れだった。また、当時は市民から避難に関する電話での問い合わせなどが殺到しており、その対応に追われた」とする。
同メールは携帯やスマートフォンに強制的に届き、大音量の警告音で受信を知らせる。深夜の避難となり、風雨で広報車の音も聞こえづらかった今回の台風では、避難情報を周知する手段として大きなウエートを占めた。(丹羽恭太)