過酸化水素系プレディッピング剤の乳頭皮膚への影響と 乳頭殺菌および乳房炎予防効果
道総研根釧農業試験場 研究部 乳牛グループ
1.試験のねらい
過酸化水素系の薬剤は、安価であるという特徴があるため、搾乳コストの削減が期待できる。しかし、わが国では過酸化水素系プレディッピング剤の乳頭殺菌および乳房炎予防の効果は検討されておらず、乳頭皮膚性状への影響も懸念される。本試験では、それらについて検討をする。
2.試験の方法
1)過酸化水素系プレディッピング剤の乳頭殺菌効果をヨウ素系薬剤と比較する。
2)過酸化水素系プレディッピング剤の乳頭皮膚性状への影響をヨウ素系薬剤と比較する。
3)過酸化水素系プレディッピング剤の乳房炎予防効果をヨウ素系プレディッピング剤と比較する。
3.成果の概要
1 )プレディッピング前に対する乳頭清拭後の乳頭側面付着細菌数の減少率は、過酸化水素群とヨウ素群の間で有意な差はみられなかった(p=0.21)(表1)。
2)供試期間中において、乳頭表皮の荒れは過酸化水素群およびヨウ素群ともに認められなかった(表2)。
3 )各試験期間における乳房炎の新規発生率は、過酸化水素群とヨウ素群の間で有意な差はみられなかった(表3)。また、乳房炎起因細菌中の環境性細菌の割合は、両群間での違いはみられなかった(表4)。
4.留意点
1)酪農生産者等が搾乳時のプレディッピング剤を選択する際の参考となる。
2)本試験で用いた過酸化水素系プレディッピング剤は、平成27年に市販される予定である。
詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研根釧農業試験場 研究部 乳牛グループ 窪田明日香
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