緊急減速に成功 カムイロケット 大樹町でHASTIC 高速時の機能確認
【大樹】NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC、札幌)は21日午前、道産小型ロケット「CAMUI(カムイ)90−P」の打ち上げ実験を大樹町多目的航空公園付近で実施した。緊急時の減速試験などで6基を打ち上げ、いずれも計画通りの高度と軌道を描いて成功した。
カムイは液体酸素とポリエチレンを推進剤とするハイブリッドロケット。火薬を使わないため安全安価とされ、2002年から大樹で打ち上げ実験を行っている。今回は高速飛行時の技術機能の確認が目的。全長2・9メートル、重量約20キロのロケットを用意、スタッフ34人が19日に大樹入りし、準備に当たった。
この日は風が弱く実験に適した天候。午前7時、1基目を打ち上げ。初めて加速度や燃焼圧力などの計器を搭載したロケットは高度1キロ近くまで到達、発射点から海側約800メートルの地点に落下した。2基目は緊急時を想定。加速中の6秒後に地上から機体に指令を出し、上空350メートルで強制的にパラシュートを開き減速させる試験に成功した。
実験は午前11時半までに終了。打ち上げ実施責任者の永田晴紀・北大大学院教授は「目的を達成できた。極めてうまくいき、満足している」、同じく実施責任者のカムイスペースワークス(赤平市)の植松努社長は「来年度も(実験を)続けたい」とし、伊藤献一HASTIC理事長は「大きな手応えをつかんだ」と話した。(北雅貴)