小型予冷ターボジェットエンジン 大樹で総合燃焼実験 JAXAが3日から
【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、町多目的航空公園内の大樹航空宇宙実験場で、3日からマッハ5クラスの「極超音速機」に搭載する「小型予冷ターボジェットエンジン」の総合燃焼実験を始める。同実験はこれまで、秋田県能代市の実験場で2回実施。今回は大樹に場所を移して初めて行われる。実験スタッフは10月27日から準備を進めており、1日も朝から作業に当たった。
JAXAは、2025年をめどに日米間を約2時間で飛行するジェット機の開発を目指している。通常のエンジンは1000度に達する高温に耐えられず壊れてしまうため同エンジンでは、氷点下250度近く冷えた燃料の液体水素を使ってエンジン温度を下げる。研究開発は04年に着手し、07年11月には能代市の実験場で、液体水素を用いたエンジン単体の燃焼試験を実施し、成功した。
今回は全長2・7メートル、重さ約140キロのエンジンを、全長4メートル、重さ約400キロの小型無人実験機に組み込んだ。燃料タンクに充てんした液体水素をエンジンに供給し、燃焼できるかを確認する。3日からは実験機を横向きにして試験し、10日ごろから機体を大気球の実験で使用する放球装置につり下げて行う。
実験担当の田口秀之主任研究員は「大樹の実験場は安全性が高く、実験に集中できる。成功させて今後の開発に弾みを付けたい」と話している。
来年度は大気球に実験機をつるし、大樹上空40キロで切り離し、マッハ2まで加速させる試験を行う予定。(北雅貴)