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映画上映でADHD考える、監督や新得高等支援学校長らトーク 新得

アフタートークで「普通」とは何かや周囲との「関わり」を考えた(左2人目から)北監督、近藤校長、高野さん、ウィルソンさん

 【新得】発達障害のADHD(注意欠陥・多動性障害)を描いた映画「ノルマル17歳~わたしたちはADHD~」(北宗羽介監督)の上映会が6日、新得町公民館で開かれた。上映後には北監督(54)と新得高等支援学校の近藤正臣校長(53)、町民2人によるアフタートークが行われた。「普通」を問い掛け、ADHDへの無理解さからの生きづらさも提起した。(吉原慧)

 全町教育地域協議会社会教育部会による実行委の主催。

 映画はADHDの高校生女子2人が、周囲との衝突や関わり、進路などに悩みながら、互いの友情を深める物語。主人公の2人や家族の葛藤を通して、「普通」とは何かを、観客に問い掛けた。

 上映後はアフタートークとして、北監督と近藤校長、町出身で千葉県の大学に通う高野なるみさん(19)、自身もADHDという町在住のウィルソン弘子さん(42)が登壇した。障害を巡る関わりについてそれぞれの立場で語り合った。

・「今を生きる」テーマ 北監督
・無意識の無理解要因 近藤校長
・違う存在受け入れて 高野さん
・苦しさ伝わってきた ウィルソンさん


 アフタートークの概要は次の通り。

 司会 なぜ今回の作品を撮影したのか。 

 北監督 (自身の)作品では常に「今をいかにして生きるか」を大きなテーマにしている。青春映画は、若い人がもがいて、生きる姿を伝えるもの。シナリオライターに青春映画のプロットを公募すると、恋愛映画が多い中、1件だけ発達障害にスポットを当てた作品があった。脚本家本人が、学生時代に友人との関わりで生じた反省がベースにある物語で、撮影したいと思った。

 司会 映画を見て感じたことは。

 近藤校長 映画では、ADHDを自ら明らかにする人と、周りに診断を隠している人が描かれた。目で見て分かる障害ではないからこそ、本人も保護者も、悩みがあると思う。悪意ある差別だけではなく、無意識の無理解にも生きづらさの要因があるので、多くの人に映画を見てADHDを知ってほしい。

 高野さん (映画に描かれたように)真剣に相談しても「それ分かる」と軽く流されてしまう経験は自身にもある。「普通」「変」と分けるのではなく、一人ひとりを違う存在として受け入れることが大切に思えた。

 ウィルソンさん 私も主人公の2人のように朝が苦しかった。大人になってからADHDと診断されたが、子どもの頃から違和感があり、気付いたら孤立していることが多かった。「何でできないの」という保護者の気持ちも、「どうして分かってくれないの」という2人の苦しさも映画から伝わってきた。

 司会 映画では商店主など地域住民が主人公2人の支えとなっていた。地域にできることは。

 北監督 2人の場合は、近過ぎない距離感の地域が逃げ場になった。近年、「発達障害」「多様性」と言葉は広がっているが、自分の周囲での関わりはどうか。近所の商店街や神社に寺、そんな子どもが関われる外の世界、コミュニティーが大切だと思う。

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