今年で最後、途別小で伝統の田植え 今年度閉校「寂しい」
【幕別】今年度末に閉校する幕別町の途別小学校(佐竹宏子校長、児童12人)で29日、伝統の田植えが行われた。児童と地域住民ら約45人が協力し、泥まみれになりながら最後の田植えを行った。
途別地区は十勝開拓の祖の依田勉三ら晩成社が稲作を行った場所。農業としての稲作は1986年に途絶えたものの、地域の歴史を紡ごうと、長年、学校でもち米の栽培を行ってきた。
この日は、同校の約1アールの水田で児童が田植えを実施。作業を前に児童会長で6年生の松本朔太朗さん(11)は、「(学校の田植えは)今年でちょうど40回目。40年も続いたことはすごい。これまで支えてくれた多くの人への思いを込め、一本一本感謝の気持ちで植えよう」とあいさつした。
続いて6年生が、下級生に「苗を深く植えると、茎が柔らかくなり倒れてしまう。2~3センチを目安に浅く植えて」と、注意点をクイズ形式で説明した。
円柱状に格子を組んだ枠を転がして、苗を植える場所の目印を付けた後、児童たちは深さに注意しながら苗を植えていった。
3年生の高橋篤史さん(8)は「1、2年生の時より真っすぐきれいに植えられた。収穫が楽しみ」と笑顔を見せた。
かつて途別で米農家を営み、初年度から田植えの指導を続けてきた横山武さん(89)は、「子どもたちも最高の手つきで苗を植えてくれた。これで最後と思うと寂しい」と話し作業を見守った。(吉原慧)
今年で最後、途別小で伝統の田植え 今年度閉校「寂しい」