道内初、上士幌でおとなの保育園留学 現場の人材確保に
【上士幌】上士幌町は今年度から、50歳前後で子育てを終えた“プレシニア世代”を対象に、保育園で働きながら学ぶ「おとなの保育園留学」を道内で初めて開始した。移住や関係人口の増加、人材確保につなげたい考え。町は「(外部人材との交流による)保育現場への波及効果、地域のさらなる活性化を期待したい」(町デジタル推進課)としている。(大健太郎)
町は昨年から、子どもが保育園に伸び伸び通えて、親は働きながら多様な地域に家族で滞在できる、子ども主役の暮らし移住体験プログラム「保育園留学」を開始。地方創生事業を手掛ける「キッチハイク」(東京)が発案した事業で、昨年度は7組21人、今年度は7組20人(7月末時点)が参加した。大阪出身のリピーターもいる。
「おとなの保育園留学」も同社の事業で、子育て経験のある大人が対象。町が実施する背景には、町認定こども園ほろん(菅原優博園長、園児177人)では園児のうち約4割が移住者の子どもで、園児数は堅調の一方、職員のなり手が少ないという事情がある。今回の事業を通じて担い手不足を解消し、労働力確保につなげる狙い。
受け入れ第1号は、東京の認定こども園でパートとして働き、保育士の資格を持つ藤原寛子さん(54)。異なる土地でさまざまな子どもたちの様子を見たいとの理由で応募した。14日から2週間、生活体験住宅に滞在しながら、同園で保育に携わった。休日は大雪山国立公園などの観光も満喫。豊かな自然の中で仕事をしながらリフレッシュにもなったという。
藤原さんは「広いホールと園庭で子どもたちが伸び伸びと育っていて感銘を受けた。異なる地域で従事し、自分の中ですごく学びにつながった。東京に帰ったら、勤めている保育園の業務に生かしたい」と笑みを浮かべる。
町幼児教育課の森本敦子主査は「子育ての経験豊富な方に来ていただき、さまざまな子どもの対応をしてもらうことで現場は本当に助かる」と話している。
おとなの保育園留学の対象は子育て経験がある人。資格の有無は問わないが、保育士資格、介護士・看護師、子育て支援員などの資格を持つ人は歓迎する。問い合わせは町デジタル推進課(01564・7・7230)へ。
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