ルスツに手品博物館あす開館 旧坂本ビルのミュージアムから寄贈の品展示
2022年10月末に閉館した帯広市のマジック専門博物館「マジック・ミュージアム」が、後志管内留寿都村のルスツリゾートのホテル内で13日、再び幕を開ける。館長だった坂本和昭さん(66)が寄贈した収蔵品を展示する。坂本さんは「海外からも含めいろいろな人に見に来てもらえる施設。大感激している」と喜んでいる。(高井翔太)
博物館は旧坂本ビル(西2南9)で17年から運営していたが、コロナ禍の影響で閉館。坂本さんは4万5000点以上の収蔵品を「バラバラにするのは、小学生の時から憧れたマジック界への裏切り」との思いが強く、一括しての引き取り手を探した。
奇術関連の団体に所属する会員に依頼したが引き受け手は現れず、坂本さんと同じく国土交通省の「観光カリスマ百選」で、同リゾートを運営する加森観光の加森公人会長に打診。帯広の博物館を訪問した加森会長から、快諾を得られた。急な工事のため、博物館の面積は半分ほどになった。加森会長は「あくまで仮の場所。将来的には北海道の新しい観光名所にしたい」と話しているという。
館内には、厳選した5000点ほどの手品道具や衣装が並ぶ。見ものは世界で活躍した手品師で、22年4月に亡くなった島田晴夫さん(享年81)が使った「伝説のドラゴン」。島根県西部の石見地方に伝わる神話の竜をモチーフにした手品道具だ。モニターを設置し、どのような手品で使われたかも紹介している。
米国に住んでいた島田さんは18年に帯広の博物館を訪問した際、坂本さんに「引退したら道具や衣装を全て寄贈するので島田晴夫コーナーをつくってほしい」と依頼していた。亡くなる前も病床から電話で「自分の道具類は日本に返したいのでよろしく頼む」と坂本さんに託していた。その後、島田さんの夫人キーリーさんと加森観光で話が進み、今年5月、島田さん宅から道具類一式がルスツリゾートに到着。坂本さんの収蔵品とともに息を吹き返した。坂本さんは「島田さんとの約束を達成し、責任が果たせた」と感慨に浸る。
博物館は、遊園地券購入者またはホテル宿泊者が入場できる。開館時間は午前11時~午後8時。13、14の両日はオープニング企画として、札幌を拠点に活動する手品師太田ひろしさんのショーが午後2時、同3時、同4時に同館で、同7時からはホテルで「テーブルマジックパフォーマンス」が開かれる。