上士幌町内の生物データブック作成 ひがし大雪自然館 レッドリストや外来種の分類も表示
【上士幌】上士幌町のひがし大雪自然館(ぬかびら源泉郷48)が、町内の植物・菌類・脊椎動物類1906種類の分類を示した「上士幌町生物多様性データブック2023」(上巻)を初めて作成した。「レッドリスト」に掲載されているかや外来種かどうかが分かり、同館は「動植物や環境の保護、調査研究に役立ててもらえれば」としている。(大健太郎)
同館は昨年、開館10年を迎えた。節目を記念する事業の一環としてデータブックを作成した。町は2021年に、内閣府選定の「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」を受賞。22年には十勝三股の樹海が「北海道遺産」に選定され、生物多様性に対する関心が高まっていることも、作成の背景にある。
データブックでは、植物として、シダ類や種子植物などの「維管束植物」と「コケ植物」「淡水藻類」、菌類の「地衣類」「きのこ」、脊椎動物の「哺乳類」「鳥類」「爬虫(はちゅう)類」「両生類」「淡水魚類」を紹介している。学会論文や研究報告、観察記録、現地調査などのデータを盛り込んだ。
絶滅の恐れでランク分けした「環境省レッドリスト」と「北海道レッドリスト」、外来生物を侵入の程度に分けた「北海道ブルーリスト」に記載がある場合は、その分類も明記した。国の特別天然記念物に指定された「特天」、学名なども書き込まれている。
絶滅危惧種に指定されている希少な両生類キタサンショウウオや、白く鮮やかなエゾノハクサンイチゲ、ヒカリゴケ、エゾナキウサギ、オショロコマなど95種類は写真も掲載している。
田中愛梨学芸推進員(27)は「環境保全につなげることに加え、データブックに載っていない情報も取り寄せ、より精度を高めていきたい」と話している。
書籍版(700円)は同館で販売。今年度内に昆虫類などを加えた下巻も販売する予定。問い合わせは同館(01564・4・2323)へ。