サケ躍動の秋 つかみ取りや伝統のマレック漁 「自然の恵み」に感謝
十勝管内では17日、秋の味覚・サケと親しむ催しが開かれた。サケのつかみ取りでは、びしょぬれになった子どもたちの笑顔がはじけ、アイヌ民族伝統の漁法・マレック漁の体験会では、いにしえの知恵を学習。来場者や参加者も「自然の恵み」に感謝しながら、心地よい晴れ間が広がる「3連休の中日」を楽しんだ。
つかみ取り 夢中で追う 大樹・柏林公園まつり
【大樹】大樹町の秋の収穫祭「柏林公園まつり」(町、町観光協会主催)では、恒例の秋サケつかみ取りが開かれ、奮闘する子どもたちに盛んな声援が送られた。
噴水広場で開かれた秋サケつかみ取りは、大樹漁協の協力で、朝に水揚げした100匹を用意。参加した約120人の児童や幼児は悪戦苦闘の末、跳びはねるサケを何とか捕まえ、「やったー」などと歓声を上げていた。
帯広市から家族5人で来場した川村陽太ちゃん(6)は体長約1メートルのサケを捕まえて笑顔。「(魚体が)ツルツル滑るので苦労したけど、楽しかった。焼いたサケが大好き」と話していた。
会場の同公園内には、飲食物の売店が並び、地元産牛肉の即売などが人気を集めた。ステージにはタレントの山田邦子さんが登場、軽妙なトークで観客席は笑いに包まれた。(能勢雄太郎)
伝統のマレック漁再現 帯広・伏古別川で児童体験
帯広啓北小学校前の伏古別川では、アイヌ民族伝統の「マレック漁」の体験会(帯広アイヌ協会主催)が開かれ、子どもたちは、川を上ってきたサケをかぎ針が付いたやりで突いて取る漁法の一端に触れた。
十勝最大のコタン(集落)があった伏古別で2017年から開かれ、今年で7回目。同川の一部に囲いを作ってサケを放流し、古くからの漁法が再現され、小学生と保護者ら約50人が参加した。
マレック漁で取れたサケは神の世界へと送り出す意味も込めて、頭部をこん棒でたたく。一番にサケを取った帯広栄小2年の木村圭佑さん(8)は「(動きが)すごく速かった。たたくのは怖かった」と初めてのアイヌ文化体験を楽しんでいた。
マレック漁に先立ち、帯広カムイトウウポポ保存会のメンバーらが神に祈りをささげる儀式「カムイノミ」や数種類の伝統舞踊を披露、最後には子どもたちも交えて踊った。
毎年、体験希望者が増えており、同会の笹村昭義会長は、「アイヌの生活や文化は『見る、聞く、触る』が大切。子どもたちには体験が一番」。今後も住民参加型の行事を続けていく考えを示した。(高田英俊)
伝統のマレック漁再現 帯広・伏古別川で児童体験