コロナ禍、物価高騰であえぐ年越し 困窮者に食品配布
長引くコロナ禍や物価高騰を受け、生活困窮者の厳しい状況が続いている。事態を重く見た福祉関係者らは29日、帯広市内で食品などを無料配布するイベント「年末おすそ分け会」を初めて企画。行列ができるなど約150人が集まった。専門機関には、生活や仕事に関する相談が相次いでいる。(松村智裕)
イベントの主催は「あったらいいねプロジェクト」(中村千代子代表)。余り物を寄付してもらうフードドライブ事業で食料を集め、2カ月に1回、弁当の無料配布にも取り組んでいる。
会場となった市内のコミュニティーサロン「あがり・框(かまち)」では、開始から2時間ほど行列が途切れなかった。来場者はレトルト食品やカップ麺、菓子、日用品、缶詰、米、野菜などを受け取り、市内の男性(63)は「コロナの影響で掃除の仕事がなくなって困っていた。米などをもらえて本当にありがたい」と話していた。相談コーナーでは6件の相談があった。
この日はボランティア約20人が協力。物資も数多く寄せられた。「多くの支援に感謝したい」と中村代表。「困っている人が少なくない現実を改めて実感した。私たちだけではなく、行政の支援も必要」と力を込めた。
中村代表が理事を務める「一般社団法人あったらいいね」では現在、運営する一時保護施設で生活困窮者2人を受け入れている。同法人は「年末年始で受け入れはさらに増えそう」と見込んでいる。
十勝総合振興局が管内在住者(帯広市を除く)を対象に設置している「とかち生活あんしんセンター」(市東4南18)では、今年度の相談件数が11月末現在で154件に上った。
1年間では230件を超えるペースで、中島亜希子センター長は「コロナ禍がピークだった昨年度の419件や一昨年度の386件には及ばないが、コロナ前と比べると依然として多い。日常は少しずつ戻っているが“後遺症”は続いている」と話す。
同センターによると相談は男女半々で女性はシングルマザーが多い傾向。「収入が減っている」「生活費がない」などの相談が多いという。中島センター長は「生活費に困っている人たちにとって、冬場の電気代や灯油代の値上がりは相当厳しいはず」とみている。