「農家も『銀の匙展』盛り上げたい」酪農家浅野さんが美術館で農業PR
農業や酪農をテーマにした人気漫画「銀の匙 Silver Spoon」などを全国の小中学校に寄贈する「全匙(ぜんさじ)プロジェクト」代表で、釧路市の酪農家浅野達彦さん(34)=帯広農業高校出身=が9日、道立帯広美術館で開催中の「銀の匙展」に合わせ、来場者に酪農の魅力を伝えるブースを出展した。
浅野さんは約60頭の乳牛を飼育する傍ら、2年前にプロジェクトを立ち上げ、これまでに約300の小中学校に漫画を寄贈。十勝はすでに全校に贈った。
「銀の匙展」の帯広開催を知った浅野さんは、作品への感謝の思いから「自分や農家もこの展示を盛り上げたい」と、帯広市の酪農家で高校の同級生、辻正和さん(35)に協力を仰ぎ、同展での牧草ロール展示に協力した。「漫画を配るだけでなく、これからは読ませる活動も必要」とブース出展も企画。来園者に搾乳ロボットやトラクター乗車をVR(仮想現実)で体験してもらいながら、展示や農業について説明した。
実際に展示を鑑賞した浅野さんは「農業の世界を忠実に描いてくれており、子どもたちが農業と出合うきっかけとなる素晴らしい作品だと再認識した。農家がこの展示に関わることで農業振興につなげられれば」と話し、「銀の匙展で初めて作品を知った十勝の子どもたちは、学校に原作があるのでぜひ読んでほしい」と呼び掛ける。
浅野さんは10月中旬には札幌の60校、年明けには熱烈なオファーがあったという東京の学校にも漫画を寄贈予定。現在クラウドファンディングで、プロジェクトを応援する「全匙サポーター」を募っている。(近藤周)
児童に食育講演も
浅野さんは8日、帯広市児童会館で小学生向けの食育講演会「酪農と牛乳について学ぼう!」を開催。牛の体の仕組みや子牛が生まれてから大人になるまで、牛乳が届くまでを説明し、「乳製品は生き物から命を分けてもらっていることを知ってほしい」と話した。
帯広北栄小2年の菊地哀喜君は「牛や牛乳について楽しく知ることができた」と話した。(瀬藤範子通信員)