値上げの秋 家計悲鳴
原材料価格の高騰や急激な円安進行を背景に、1日からさまざまな商品、サービスの価格が上がる。10月は年内最多となる6500品目以上の食料品で値上げが予定され、外食や日用品、家電、公共料金など影響は広範に及ぶ。春、夏を上回る最大級の「値上げの波」に、十勝の消費者からは「生活が厳しい」との声が聞こえてくる。(松村智裕、澤村真理子、近藤周)
帝国データバンクによると、原材料価格の高騰や原油高に円安が加わり、国内の食品主要105社中、82社が今年値上げを行うか実施済みとなっている。
シングルマザーとして小学4年生の子どもを育てる帯広市内の会社員女性(35)は「(さまざまな物が値上げしても)お給料が上がるわけではない。一生懸命働いても同じような生活ができなくなってくるかもしれない」とため息をつく。
生活費に充てるため、帯広市のプレミアム商品券を購入したが、「学童保育の利用料や給食費の補助の方がリアルに必要」。学習塾なども高額で行かせてあげられないとし「国や市には、放課後教室などで勉強やピアノを教えてくれるようにしてほしい」と望む。
帯広畜産大3年の江頭ひかるさん(21)は「とにかくガソリンが高い。畜大生は車がないとバイトに行けないため、燃料の値上げが一番の影響」と話す。
寮で暮らす中、農家の実家から届く野菜や肉で自炊をし、食費は抑えてきたが、所属するカーリング部は10月からシーズンが始まる。「大会や遠征が増えるにつれ、交通費や外食も増える。さらに値上げされたら自分に使うお金がなくなってしまう」と出費がかさむこの時期の値上げに頭を悩ませている。
兄夫婦やおいと市内で暮らす梶川博子さん(80)は、10月の値上げの前に米や油類、しょうゆ、酢などの調味料を大量に買いだめした。購入した米は60キロ分にもなり、台所を占拠している。
「買いだめにも限度があるし、さらに何を切り詰めればいいのか」と嘆き、「年金生活なので値上げが続くのは本当に困る。夫も子どももいないので、自分の身に何かあったらと思うと心配」と今後を不安視していた。