フランス発祥のトマト「マルマンデ」十勝で生産 芽室の太田農場、販路開拓
【芽室】国内では珍しいフランス発祥の「マルマンデ」と呼ばれる大玉トマトの生産が、十勝の農業者らによって進んでいる。芽室町内の太田農場(太田勲代表)では試験栽培を経て、今季から本格的に販路を開拓している。農場で同品種の栽培に関わる太田代表の息子祐一さん(38)は「国内ではあまり流通していなかった品種。新たな生産者が増えることにもつながればうれしい」と期待する。
マルマンデタイプのトマトは主にヨーロッパで生産されている。日本の品種よりも水分量が少なく、保管の仕方や調理方法によっては「1カ月ほど保存が利き、長持ちする」(祐一さん)。
生食だと癖が少なく、トマト特有の酸味も少ない。トマトソースの材料にするなど加熱すると甘みが強く出る。生でもサンドイッチに挟むなど、味を付けることでトマトが苦手な人でもおいしく食べられるという。一方、これまで国内ではほとんど流通がなく、認知度の低さが課題だった。
太田農場で栽培するのはヴィルモランみかど(千葉県)が苗を販売するマルマンデタイプのトマト「レベリオン」。2018年、苗数本から試験栽培を始めた。同社では生産者を限定していて、道内では芽室町で同農場を合わせ2件、音更町、幕別町、中札内村で各1件と管内のみ。全国でもわずか10件という。
同品種は成長しやすい半面、実が付きすぎることで着色のための栄養が不足するなど栽培の難しさもあり、同農場でも試行錯誤を続けてきた。今年は曇りが続いたことで成長が適度に抑えられ、収量が安定。祐一さんは「霜が降るまで収穫は続き、2トンほどは取れそうだ」と推測する。
収穫したトマトは町内のJAめむろファーマーズマーケット「愛菜屋」で販売中。1袋3~5個ほど入って400円。同農場では、天候に左右されない収量の安定化を目指し、来季も栽培を続ける予定。祐一さんは「まずは手に取っておいしさを知ってほしい」と呼び掛けている。(石川彩乃)