農に向き合う~農業経営部会会員紹介「音更・波佐農場」
1、畑作、野菜、花きの複合経営
入植4代目、音更町下士幌で60ヘクタールの畑で農業を営む。小麦、ジャガイモ、大豆、ナガイモ、ナタネなどを生産。20棟余りのビニールハウスではレタスやキャベツ、アスパラなどの野菜とトルコギキョウといった切り花を育てている。ジャガイモは生食用を直販し、野菜類は直売所に出している。
父親の時代は耕地面積は20ヘクタール弱だったが、1971年に就農した波佐さんの代になって面積を広げ、栽培品目も増やした。不作のリスクを分散する複合経営を確立した。直売に力を入れていて、地元スーパーのほか宅配便で札幌市内の直売所にも出荷する。
2、プロが認める低温貯蔵ジャガイモ
ジャガイモは、加工用はJA向けで、生食用は直売で出荷している。1~2年越冬させて甘みを増して付加価値を高め、道内外のホテルや飲食店、卸売店に出している。10年ほど前、発芽対策に低温貯蔵していた「インカの目覚め」の味の変化に驚いた。甘みが増したイモを札幌圏の直売所に出すと、こだわりのイモを探していた料理人やバイヤーのニーズと合致。口コミで販路が広がった。
現在では敷地内に設けた冷蔵庫2棟で、メークインやキタアカリなども越冬貯蔵して直売で全国に販売。「『このジャガイモを食べたら他は口にできない』と言ってもらえる。励みになる」と話す。初夏に一面黄色に覆われるナタネ畑は観光客の目を引き、十勝では栽培技術が難しいといわれる切り花は20年余り続けている。
3、異業種交流で視野広げ
同友会や親戚の農家や既に入会していた仲間に誘われて入った。異業種など多くの人と出会い、幅広い情報に触れることで、波佐さんの意識もさらに変わったという。「視野が広がった。情報を入手して考え方を変え、経営に生かすことが大事。同友会には自分と同じような考えをする人が多かった」と笑顔を見せた。
4、環境負荷考え、「長く続けられる農業を」
生産資材など営農の経費は上がり、市場に求められる作物も変化していく。「大企業でも経営破たんする時代。畑作農家だけ冬は休みということにはならず、『雪で何もできない』ではなく工夫して考える。常に新しい農業、経営に挑戦していかないといけない」と話す。
これからは環境負荷の少ない農業に意識を向けている。化学肥料は減らし、堆肥を増やすなど、長く続けられる農業を目指す。「挑戦のうち成功したのは1割ぐらい。でも常に何かを探し、死ぬまで勉強だと思ってやっている」と笑った。
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