ふるさと給食づくりに奮闘 帯広市「オビリーネット」 高い地産地消率も評価
帯広市の栄養教諭と栄養士8人による「食で育む給食研究会オビリーネット」が、帯広らしい給食づくりに奮闘している。毎秋に提供する「ふるさとの日」の新メニュー考案も予定しており、メンバーは「世代をまたぎ、記憶に残るようなふるさとの味にしていきたい」と話している。
市の給食改革が進んだのは、現在の学校給食センター(南町南8線)が稼働した2015年ごろから。これまでは設備の都合などで、国内外の冷凍カット野菜を使わざるを得ない環境だったが、サラダなどあえ物を作れる環境が整ったことで地場産品の活用が視野に。17年には栄養教諭5人が配置され、「人が入れ替わっても活動を継続できるように」とオビリーネットを発足した。
地産地消率が増加
地域の生産者に掛け合い、18年度の野菜の地産地消率は、帯広・十勝管内産が63・5%(前年比6・2ポイント増)。19年度はコロナの影響で61・8%にとどまったが、高い地産地消率の実現が評価され、市学校給食センターは今年度の「地産地消等優良活動表彰」(道農政事務所主催)で同所長賞も受賞した。
発足時を知り、他の自治体勤務も経験した横井智子さん(栄小栄養教諭)は「販路と流通の問題が地元の食材を使う壁となるが、帯広はそのルートができている」と話す。
独自スープを開発
独自スープの開発も行い、18年からは給食に「オビリースープ」が登場。市販の調味料を使わず、鶏がらと香味野菜から取ったブイヨンがベースのスープで、北海道ホテルの工藤一幸総料理長(当時)の全面協力の下、試作を重ねて完成した。提供は年10回。ミルク仕立てやカレー味など、さまざまな形で登場し、今では人気メニューの一つになっている。
市は9~11月の各月1日を「ふるさとの日」として、地場産食材を通常より多く取り入れた給食を提供している。オビリーネットは今後、11月の目玉になる新メニューを有識者と共同で開発する予定。宇都宮美和子さん(稲田小栄養教諭)は「義務教育9年間で給食を食べる回数は1800回以上。子どもたちは選べないので、出す側の責任は大きい。大きくなっても思い出してくれるような給食にしていきたい」と話した。(牧内奏)