「ナチュラル・ホースマンシップ」国内第一人者の持田さんの活動に注目 JRA賞馬事文化賞や初の著書出版も
「ナチュラル・ホースマンシップ」と呼ばれる馬との自然なコミュニケーションの国内第一人者、持田裕之さん(56)=帯広市=の活動が注目を集めている。全国各地での講習会などに加え、編集に協力した書籍は「2021年度JRA賞馬事文化賞」を受賞。昨年12月22日には初の自著を出版し、自身の理論を広く普及している。
持田さんは、馬の調教の研修施設などを備える牧場「ヒロユキ・モチダ ホースマンシップ(HMH)」(市富士町西6線)の代表。一年の3分の2は道外に出向き、競走馬や乗用馬の調教、調教師などへの指導を行っている。地上で人馬が向き合って意思疎通を図る「グラウンドワーク」にも力を入れ、一般社団法人ジャパンホースグラウンドワーク協会理事も務める。
広島市出身の持田さんは20代前半を米国で過ごした後、日高地方の早田牧場で勤務。ニュージーランド人のクリストファー・ラスベン氏から「ナチュラル-」の理論に基づく新馬調教を学び、通信教育や米国研修で研さんを積んだ。中札内村の花畑牧場を経て、2004年に独立して市内で牧場を経営。15年に現在地へ移転した。
編集協力の本受賞
JRA賞馬事文化賞は、米国の脳科学者ジャネット・L・ジョーンズ氏が執筆した「馬のこころ 脳科学者が解説するコミュニケーションガイド」の編集協力で受賞。“馬のスペシャリスト”として監修に関わった業績が評価された。
昨年12月に刊行した自身の著書「ホースマンシップ 人と馬との関わり方」は、馬の心理や行動特性を紹介し、コミュニケーションやグラウンドワークの方法などを写真やイラストをふんだんに用いて説明している。自著の出版は「人材育成のため、多くの人が理解できるテキストが必要だった」と十数年来の夢だった。
「接し方に対する答えを正直に示す馬と関わることで、私自身が相手を受け入れるコミュニケーションを学んだ」と持田さん。「本や講習会を通じて、もっと深く馬について理解してもらい、人馬の良好な関係づくりに貢献できれば」と話している。
同著はエクイネット社刊で、A4判カラー90ページ。2750円。(松村智裕)