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「藤田の味付若どり」本格復活へ 破産乗り越え、藤田さん

従来から変わらない赤いパッケージだが、デザインをリニューアルした商品で再出発を図る(左から)安代さんと直樹さん。右は有澤社長(ダイイチ東店で)

 事業停止し破産した「藤田ブロイラー」(音更町)の3代目だった藤田直樹さん(48)と安代さん(51)夫妻は24日、自社ブランド商品「藤田の味付若どり」の販売を本格再開させる。直樹さんは「多くの人に迷惑を掛け、自分らに作る資格があるのか、今も葛藤しているが、応援してくれる人の支えで決めた。気持ちに報いるため頑張りたい」と静かに話している。

 同社は1950年、直樹さんの祖父が創業し、管内では数少ないブロイラー処理会社。父親の時代からは音更本町の「とりせい」など飲食店やスーパーなどへの商品供給も本格化させ、工場敷地内に直売所を設け「藤田の十勝どり」の半身揚げを販売するなどし、ファンも多かった。

 ただ、飼料価格の高騰などで収益は低迷し、昨年1月に破産申請した。直樹さんは音更で生まれ育ち、22歳からは、社長だった父の下、家業を支えたが、「取引先などに対し申し訳ない気持ちしかない」と振り返る。

 ただ、取引先の一つ、食肉加工卸の有沢精肉店(帯広市)の有澤宏社長らから「君には鶏しかないだろう。とりせいなどの取引先は商品供給を待っている」と強く復帰を促された。有澤社長は残った藤田ブランドの在庫をすべて買い取り、有沢第2工場の一角を貸してくれ、昨春から同社運営の「土日のびっくり市」などのほか、従来の取引先中心に供給してきた。

 中でも「味付若どり」の各種商品は、音更本町「とりせい」初代店主の故鈴木清子さんの塩・コショウが基本のレシピだが、直樹さんは「原料鶏が変わったので、これまでに近い味にするため、何度も試食し配合を整えた」と説明。総菜も含め徐々に販売量を増やし、昨年末には旧会社の法的整理のめどが付き、個人事業での本格再出発を決めた。

 過去の定番品のうち、「味付若どり」のフライドチキン(でんぷんなどを混ぜ込んだ)とモモ肉(1個各270グラム)、鍋たたき(同300グラム)の3種について、パッケージをリニューアルし、1パック各537円で、24日からスーパー・ダイイチ(帯広市)をメインで当面は週末限定で販売する。(佐藤いづみ)

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