国立公園でワーケーション、十勝にも期待 道協会関係者
新型コロナウイルスを契機に新たな生活スタイルが模索される中、道内でも国立公園を活用した「ワーケーション」を推進する動きが出ている。北海道ナショナルパークワーケーション協会(札幌市、鳥取義之代表理事)は昨年、釧路管内で体験事業を実施、今後は十勝での事業展開も視野に入れている。12日には関係者が十勝入りして食やサウナを体験、日高山脈の国立公園化も踏まえ十勝での事業展開に意欲を見せた。
同協会は昨年11月に設立。各種セミナーや自治体と連携したワーケーションプログラムの開発などを展開している。現在はテストプログラムを提供している段階だ。
昨年は阿寒摩周国立公園を中心に実証事業を実施。首都圏の経営者がテレワークの環境を確認、カヌーなどのアクティビティーや道産食材の料理を楽しんだ。地域事業者と意見交換も行った。
十勝には12日、加藤敏明理事、庄司岳理事、鈴木藍事務局長の3人が来訪。心のエクササイズ「マインドフルネス」の専門家の人見ルミさん、JTB総研の内田亜由美さん、日本食文化研究料理家の守岡実里子さん=いずれも協会アドバイザー=が同行した。一行はファームレストランやサウナを巡り、地元関係者と意見交換。その一環として十勝毎日新聞社にも表敬訪問した。
加藤理事は「国立公園のブランドはハイエンド。(ワーケーションは)観光産業発展のきっかけになる」と強調。鈴木事務局長は日高山脈襟裳国定公園の国立公園化を踏まえ、「(十勝のように)観光のベースと自然環境のそろっている地域は北海道でも多くない。食やサウナを“売り”にしたプログラムは可能性として面白い」と述べた。
同協会は今後、環境省と連携を深めて道内での事業展開を予定。十勝では上士幌町や帯広市などでワーケーションの機運が高まっており、今後の展開が注目される。(中島佑斗)
「ワーク」(仕事)と「バケーション」(保養・旅行)を組み合わせた造語。職場とは異なるリゾート地や観光地などで働きながら休暇を取ること。環境省は国立公園でのワーケーション推進を打ち出している。