余聞見聞(10)「晴れて『しばれる』十勝」
帯広、国内2位-38・2度 毎年-30度迫る陸別
いよいよ冬本番。内陸の十勝では氷点下20度を下回る極寒の季節を迎える。管内で最も低い気温を記録した自治体は「日本一寒い町」・陸別…と思いきや、国内歴代2位の最低気温を観測した帯広だった。
1902(明治35)年1月26日、帯広市で氷点下38・2度を観測。前日の1月25日には旭川市で国内最低気温の記録となる氷点下41・0度が観測されている。この2日間はものすごい寒波が北海道に押し寄せたと推察される。氷点下40度を下回ったのは後にも先にも旭川だけだ。
十勝、上川など北海道の内陸は、なぜ、こんなに寒いのか。日本気象協会道支社は「十勝の場合、雪雲が入って来づらい地形にあり、晴れる日が多い。朝にかけて地表面の熱が上空に逃げる『放射冷却』が発生すると厳しい寒さになる」と解説する。
歴代記録は帯広に譲った陸別だが、やっぱり寒い。過去5年間、2020、19年の最低気温は氷点下30度以下、16~18年は氷点下29度近くにまで下がった。ライバルはやはり、上川地方。同管内占冠村は過去5年のうち、17、18、20年の最低気温は氷点下30度を下回っている。
陸別の場合、19年は最高気温として37・8度を観測。年間の寒暖差は実に70度で、人体にはこたえる気象環境にある。
さて、最近の北海道の冬といえば、いわゆる「暖冬」が続いている。
日本気象協会道支社は「一冬に氷点下30度を下回る日は少なくなっている。今年の冬も冬型の気圧配置が緩み、気温は平年並みか、それより高いと予想され、雪も平年並み」としている。(能勢雄太郎)
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帯広・十勝の埋もれている話題、目立たぬ事象にスポットを当てる。(随時掲載)
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