2度のCF出版経て、帯広の湊谷さんが8月末に絵本を発売
帯広在住のイラストレーター湊谷鈴さん(23)=ペンネーム=が手掛けた絵本「むりつむり」が31日、三恵社(愛知)から全国発売される予定で、10日からインターネットのアマゾン予約が始まる。大人向けに制作されたが、子どもたちにも好評で、湊谷さんは「大変な時代だが、心の支えになってくれたら」と話している。
湊谷さんは今春、札幌大谷大学芸術学部美術学科グラフィックデザイン専攻を卒業。絵本は、引っ込み思案でキャベツが苦手な主人公の「むりつむり」が、食べれば勇気が出るという「勇気野菜」を頑張って口にする様子を描いた物語。「むり」が口癖ながら、ここぞというときに頑張りを見せようとするむりつむりの姿がユーモラスに描かれている。
もともとは大学の卒業制作で、「大人向けの絵本」として作られた経緯があり、キャラクターもSNS(インターネット交流サイト)で投稿しているイラストが基になっている。「印刷業者の設定した期限ぎりぎりでの納品だった」と制作した当時を振り返る。
完成した作品をネットで紹介したところ「欲しい」という声を受けたが、出版の負担が大きかったため、クラウドファンディング(CF)で費用を調達した。1回目のCF後にインターネットの動画サイトで絵本を使った朗読が配信されたことを受け注目が集まり、2回目も実施され、合わせて計150冊以上が出版された。
2回目のCF時に出版社から声が掛かり、今回の発売に至った。「発売日も野菜にちなんだ8月31日(831=やさい)にしてもらった」と笑顔の湊谷さん。CF版は大人向けで、本文は漢字が使われていたが、「子どもも楽しめた」という声を受け、発売される分にはルビを振ったという。
湊谷さんは「新しいことに勇気を出して飛び込めば、楽しめることがあるかもしれない、ということを表現したかった」と話している。
価格は1500円(税別)。市内書店でも取り扱われる予定。(大木祐介)