霧の隙間から七つ沼カール 夏山シーズン真っ盛り 日高山脈
本格的な夏山シーズンを迎え、日高山系最高峰で日本百名山の一つ、幌尻岳(2025メートル)を目指し多くの登山者が訪れている。同岳の北東斜面にある七つ沼カールは雪解け水をたたえ、高山植物が咲き誇り、登山者の疲れを癒やしている。
幌尻岳に至るルートは複数あるが、林道崩壊により、日高管内日高町千栄(ちさか)の千呂露(ちろろ)川上流から北戸蔦別岳(1912メートル)、戸蔦別岳(1959メートル)を経て頂上に立つルートが一般的に使われている。1泊2日、片道約10時間の長大なコースで、百名山の中でも最も難易度が高い山の一つに数えられる。それでも、夏山登山の最盛期には全国各地から登山者が集結する。
戸蔦別岳から眼下に見える氷河地形の七つ沼カールは岳人憧れの楽園で、雪解け水でできた沼が点在し、高山植物が豊富な場所として知られる。キャンプ地として使われることもあるが、今月に入り、親子のヒグマが雪渓を歩く姿が目撃され、登山者を驚かせた。十勝側に立ちこめた雲が稜線を越えて流れ下る「雲滝」という現象も見られた。
埼玉から訪れた会社員望月肇さん(66)は「本州の山のように標識がなく、ハイマツがきつかった。北海道の高山植物は大きく素晴らしい」と額の汗を拭いながら話した。(デジタル編集局=塩原真)