ひろがる「ひまわりの絆」プロジェクト
十勝管内の警察署で交通安全を願う「ひまわりの絆プロジェクト」が広まっている。交通事故で亡くなった男児が育てていたヒマワリの種を警察官が譲り受けて育て、全国の警察署で植栽が行われている取り組みで、管内では2016年に新得署が参加し、18年に広尾と本別両署が、19年に帯広署が参加。今年から池田署も加わり、管内5警察署で行われている。
2011年11月、京都府木津川市に住む東陽大(はると)ちゃん(当時4歳)が、自宅から200メートルの場所で乗用車にはねられ亡くなった。ヒマワリの種は陽大ちゃんが幼稚園で育てていたもので、両親と翌年に植えることを約束していた。両親は陽大君の死後に自宅に植えて花を咲かせ、13年春、捜査を担当していた警察官に「陽大が生きた証しを残したい」と種を託した。
この警察官の異動先となった亀岡署管内では12年4月、無免許の少年が運転する車が小学生の登校列に突っ込み、10人が死傷する事故が発生していたこともあり、小さな子が被害に遭う交通事故を無くそうと、陽大ちゃんのヒマワリの種が同署の花壇にまかれた。そこから再び種を取り、京都府警すべての警察署でヒマワリが育てられ、全国に広がった。
管内各署では、庁舎の花壇や保育所、学校などで園児、児童、生徒らと協力して種まきが行われている。
18年に新たな庁舎が完成した帯広署では、今年1月に外構工事が完了し植栽スペースができた。このスペースにヒマワリを植えることを見据え、昨年種を譲り受け、プランターで育ててきた。
今月5日には同署の若手署員らを中心に約20人で苗の植え替えが行われ、同署正面、国道38号側の植栽スペースに交通安全を願う約100本のヒマワリが植えられた。同署の浅野慎哉交通1課長は「男児の遺志を継いだ大きく、力強い花を咲かせてほしい。ヒマワリを見た皆さんに交通安全への思いを強くしてもらえれば」と話していた。(大谷健人)