帯農ナイン太陽の下で生き生き練習 センバツヘ淡路島遠征スタート
【兵庫県淡路市】高校野球の第92回選抜大会(3月19日開幕、兵庫県西宮市・阪神甲子園球場)に出場する帯農の兵庫県・淡路島合宿が13日に県立淡路佐野運動公園野球場でスタートした。昨年11月以来となる土の屋外グラウンドでの練習は、甲子園に向けた戦力の見極めも兼ねた練習。この日は悪天候の影響もあってわずか2時間半しかなかったが、37人の部員たちは、思いっ切りプレーできる喜びをかみしめつつ体を「屋外モード」に慣らしていった。合宿は17日まで4泊5日の日程で行っている。(岡部彰広)
当初練習を予定していた洲本市民球場(洲本市)は前日の降雨によるコンディション不良で使用できず、そこから北に20キロ離れた佐野運動公園に場所を移した。練習時間も1時間遅れの午後2時から始まった。
選手は午前5時に帯広を出発し新千歳空港から大阪、そしてバスで淡路島へ移動と疲れが残っていたが、4月上旬並みにまで上がった気温18度を超える暖かさもナインの意気込みを後押し。グラウンドでは「すず野球」のスマイルを見せながら、すべての時間を守備練習に費やした。
8日の小樽遠征の際はボール回しで左回り、右回り各連続30回成功に1時間かかったが、今回は3度失敗しただけでわずか17分で終了。その後はバント処理の連係や、今年初の本格的な内外野連係を行った。
前田康晴監督、白木繁夫部長が所用で1日遅れの14日に合流するため、この日は大久保聡彦副部長が1人でノッカーを務めた。選手たちの「楽しそうにしていた」という表情に鼓舞されながら、80分間にわたりバットを振り続けた。
井村塁主将(2年)は「雪のグラウンドの打球と比べて捕りやすいが、姿勢が高いなど雑な部分が出た。久しぶりの(屋外の)土で足に疲労も感じた」と不本意な様子だったが「だれもが生き生きとしていた」と1日目を総括した。
自主練習重ね復活を 主砲前田
昨秋の道大会で打撃不振だった主砲の前田愛都一塁手(2年)が、この冬の努力の成果を甲子園で出そうと、この合宿に必死に取り組んでいる。
昨秋の支部予選では打率・545だったが、その後の道大会では16打数2安打・125に終わった。4強進出の快進撃の中で、1人蚊帳の外に置かれた気がした。その悔しさを晴らすため、オフシーズンはただ体重を増やすだけではなく筋量もしっかり増量することを目指した。冬休み9日間のアルバイト期間も無駄にしないようにと、午後6時に終了後も「一回一回全力でバットを振ってきた」という。また体組成測定の結果、体幹部の筋量が少なかったことから、下宿の部屋でプランク(腹筋運動)などを精力的にこなした。
筋肉に必要なタンパク質も、アスリートにとっての目安となる1日に体重の2倍のグラム数を摂取。きなこ牛乳だけではなく食事、市販プロテインで補った。その結果、体重は昨秋から2キロ増え76キロに。スイングスピードもどっしり構えられるようになったことで8キロ増の130キロになった。
今では克服したが、以前は守備が苦手でスローイングに難があった。連続ボール回しも前田がミスしてストップすることがあり、苦にしていた。そのため「守備の分、打撃で目立たなければ」と全体練習が終わったあとに自主練習を重ねてきた。その結果、昨秋に初めて背番号をもらい支部予選で結果も出した。その成功体験は、今回の努力のモチベーションとなった。
合宿1日目は守備練習のみで終わったが、2日目以降の紅白戦を楽しみにしている。「どこまでできるのか知って、甲子園までに足りないところを補いたい」。ムードメーカーの前田が打てば甲子園でも帯農旋風も巻き起こるはずだ。