藤丸 地域とともに120年 2日から回顧展「原点に返る」
藤丸(藤本長章社長)は来年創業120周年を迎える。地元資本による独立系百貨店としては道内唯一となり、十勝の大型店の中核を担い続けてきた。1月2日から記念事業のスタートとなる「回顧展」を10年ぶりに開催、初代の藤本長蔵氏の遺物など初披露の品も展示する。4代目の藤本社長は「歴史の重みと責任を再認識。厳しい時代こそ原点に立ち返り、地域の皆さんとともに歩みたい」としている。
1897(明治30)年、富山県出身の長蔵氏が帯広で太物店を出したのが原点。1900年に北越呉服を設立、01年に大通南5に移転し、16年に藤丸呉服店に商号変更。30年には4階建てエレベーター付き建物を西2南8に建設、百貨店経営に踏み切った。戦前までは農場も経営した。
61年に新店舗(西2南9、旧帯広北洋ビル跡)を建設。現店舗(西2南8、地下3階地上8階建て)は再開発事業として約80億円を投入し、82年に完成させた。
流行のファッションを取りそろえ、全国物産展などを展開、ピーク時の年商は約145億円を記録した。文化催事にも力を注ぎ、2000年に道地域文化選奨特別賞・企業市民文化賞を受けた。近年は「地域商社」を掲げ、衣料偏重ではない新たな地方百貨店像を模索している。
回顧展は1月2~7日、7階催し会場で開催。創業期から現代までの写真、社内報、制服、包装紙など約600点を展示する。北海タイムスが昭和10年に発行した藤丸がゴールの「商売繁盛双六」、長蔵氏が64歳で世界旅行した時のかばんなども初披露する。
120周年のキャッチコピー「いままでも、これからも」を表記したポスターを制作して掲示。「誕生祭」に併せて消費者還元企画も検討している。藤本社長は「写真や資料を読み返し、時代を先取りした歴代経営者の姿勢に感銘した。地域の力を借りて十勝に根差したおもてなしを提供していく」と話す。(佐藤いづみ)