道知事選告示 農業政策、子育て支援充実など十勝の有権者も関心高く
21日に告示された道知事選は16年ぶりの新人対決となり、北海道の未来を託す新リーダーが誕生する。十勝の有権者は農業や子育て支援、経済、災害対策などに関心が高く、実行力を伴った具体的な政策論争の深まりを期待している。(統一地方選取材班)
近年増加する大規模災害への対策や基幹産業の農業政策への関心は高い。2016年夏の豪雨災害による河川氾濫で畑の一部を削られた清水町の農業三好豊さん(56)は、畑の完全な回復には数十年かかり、町は復旧・復興の途中とし、「地元の声に耳を傾け、今後の災害への備えや復旧・復興への道のりを示してほしい」と要望する。
農業後継者不足も深刻化し、「自分自身も後継者がいない。新規就農者獲得など北海道農業を今後どうするか、具体的な政策を」と話す。
芽室町の元農業小林義兼さん(77)は「北海道を支えているのは農業。(TPP11発効など)取り巻く環境が厳しい中、北海道農業を大事にしてくれる人を選びたい」とする。人口減少時代を迎え、高校授業料の全世帯無料化など子どもを大事にする施策も注視。「政党などは関係なく、地方を大事にする人、道民のために動いてくれる人に投票したい」と語る。
子育て支援の充実を求める声は多い。帯広市のパート従業員深井由貴さん(28)は現在、2歳半の息子が保育所や幼稚園に入れない“待機児童”状態に。「知事は子どもたちの世代の基盤をつくる人。少しでも改善されるよう頑張ってほしい」と話す。その上で「天災なども含めて何が起こるか分からない時代だからこそ、とっさに行動できる力は必要」とし、投票の決め手に対応力を挙げる。
育児休暇中の音更町の会社員吉井由恵さん(30)は「保育士は給料が安く、拘束時間も長いと聞く。子どもを預けやすい社会にするためにも働く人の労働環境改善を」と求める。子育て中の母親が体調を崩した際のサポートなど「地域が協力し合って子育てできる環境になれば」と願う。
幕別町の主婦田中さおりさん(42)も「小さい子どもがおり、子育て環境の整備を期待している。北海道を明るく元気にしてくれる人を知事に」と話す。
経済対策を望む声も根強い。帯広市で不動産業を営む小島道只さん(50)は、帯広や釧路で景気回復の気配はなかなか感じられないという。さらに「高齢の両親や幼い子どもに対する医療福祉、教育分野への目配りも注目したい。実りある政策論争を期待し、公約がその通りに実行されるのか見守りたい」とする。
「福祉・介護の問題に当事者意識を持ち、行政がイニシアチブを取って」と望むのは、市内のデイサービスで施設長を務める中村朋子さん(63)。団塊世代が75歳以上になる2025年問題が指摘されるが、「超高齢社会を前に既に人手不足が深刻。他職種連携による地域包括ケアも十分とは言えない。誰もが自分らしく生きられる地域になるよう、医療・福祉・介護のヒューマンサービスが良くなるきっかけの選挙になってほしい」と話す。
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