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生きる×支える「酒井医師が帯広市内で独立開業 十勝の在宅医療の普及に尽力」

11月に独立開業し、「さかい総合内科クリニック」を開設した酒井俊医師(中央)とスタッフ。近く訪問看護も本格化する

 帯広第一病院で副院長を務めた酒井俊医師が独立開業し、帯広市内で在宅医療などを手掛ける「さかい総合内科クリニック」(西9南13)を開設した。十勝の人口集中エリア(帯広、音更、幕別、芽室)では「おとふけホームケアクリニック」(音更、阿部郁代院長)、「木野東クリニック」(音更、後藤幹裕院長)が在宅医療に積極的に取り組んでいるが、多くの患者が自由に入院と在宅を選べる環境を築くには道半ば。酒井医師は「帯広周辺の在宅医療の3本目の柱になりたい」と話している。

 さかい総合内科クリニックは、11月1日のオープン。外来診療は月曜-金曜の午前9時~正午、第2・第4土曜の午前9時~正午、月曜・水曜・金曜の午後2時半~同6時。これを除く昼休みと火曜・木曜の午後を訪問診療に充てる。近く訪問看護も本格化し、患者が自宅で安心して療養できる環境を整える。

 酒井医師は奈良県出身。50歳。富山大学(旧富山医科薬科大学)の薬学部で学んだ後、改めて医学部に入り、1998年に卒業。大阪の八尾徳洲会総合病院で内科医の経験を積んだ。

 2001年に十勝に移り、第一病院に。13年に十勝在宅医療ネットワークを立ち上げて代表幹事も務めたが、「病院の副院長業務の傍ら、在宅医療が浸透しない状況に歯がゆい思いをしてきた」という。

 このため、独立開業の道を決断し、患者が人生の最期を自由に選べる環境づくりに尽力することにした。今後は第一病院と帯広協会病院に在宅療養後方支援病院としてバックアップしてもらう。

 第一病院に勤務していた時代から在宅医療に取り組んできた酒井医師は「病院内の窮屈な闘病生活に悩んだ60代のがん患者が、自宅に戻って奥さんと娘さんに見守られ、幸せそうに最期を迎えたことが強く印象に残っている」という。

 今後は十勝で訪問診療に取り組む医師らとカバーし合いながら、在宅医療の層を厚くし、「ひとりでも多くの患者が終末期医療に満足したり、若い医師が在宅医療を志したりできる環境を十勝につくりたい」としている。

 終末期の患者が自宅で安心して療養できる在宅ケアは、訪問診療、訪問看護、訪問介護の三つがそろって可能になる。今回、酒井医師が独立開業したことで、帯広周辺では「訪問診療」「訪問看護」の層が厚くなる。今後、在宅医療を手掛ける医師同士の連携などが進めば、患者が“在宅”を検討しやすい素地が生まれるかもしれない。
(奥野秀康)

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