イワシをブランド化 広尾・池下産業
【東京・広尾】養殖魚用餌製造などの池下産業(本社・広尾町茂寄936、池下藤一郎社長)は、道東沖で水揚げしたマイワシを「大トロいわし」と称してブランド化し、業務用での販売を開始した。町内に急速冷凍・保管する工場を新設し、「Revo Fish」のブランド名で鮮度と品質を管理し取り扱う。北海道での漁獲量が増えているイワシを高付加価値化し、海外輸出も目指す。
同社が餌用に加工する原料の9割はイワシで、DHAなどの栄養分や魚油を抽出し「マリンオイル」としても販売している。北海道での漁期は通常7~10月だが、全国を巡る道外船から、北海道で水揚げされたマイワシは産卵前で脂が載り貴重と聞き、3年前からブランド化を構想していた。
広尾漁港に隣接する自社所有地に約2000平方メートルの工場を建設した。グラム単位で選別して急速冷凍機で冷凍した後、1匹ずつ真空保存し、栄養価を維持したまま出荷する。「大トロいわし」を商標登録し、通常大ぶりといわれる100グラム前後を上回る170グラム以上のイワシだけを選び、加工する。
10月から工場を試験操業し、11月21~24日に都内の東京ビッグサイトで開催中の和食産業展2017(日本能率協会主催)で初披露している。会場ではミシュランガイド一つ星の八寸(帯広)の木幡好斗店主がすしにして振る舞い、来場したバイヤーからは「臭みがない」などと好評という。都内のイタリアンレストランの他、アジア圏からも引き合いがある。
秋サケやシシャモが記録的な不漁の中、イワシは北海道で豊漁傾向が続く。同社によると国の許可漁獲量は5年前の4倍の12万トンで推移。新工場稼働により、従来の餌用も合わせた十分な量の調達が可能で、大型で高品質のイワシを選別、出荷でき、限られた漁期もブランド化に効果的という。
池下社長は「ブランド名には漁業界に革命(レボリューション)をとの思いを込めた。水揚げ魚種が変化する中で時代に合った形で付加価値を出せれば」と話している。
(原山知寿子、眞尾敦)