共生社会のヒント共有 日本脳損傷ケアコミ学会帯広大会
脳損傷者と地域住民が共に生きる社会づくりを目指す「第7回日本脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会」の北海道帯広大会(同学会主催)が10、11日、とかちプラザで開かれた。道内では初の開催となった大会には、全国各地から当事者や医療・福祉の関係者ら200人以上が来場。共生社会のヒントを共有し、交流を深めた。
管内在住の障害のある当時者が実行委員会に多数加わり、壇上で自らの声を伝えた。高次脳機能障害のある中原栄美さんは「当事者の声を真剣に聞いて」と訴え、右半身まひのある野村隆敏さんの「みんな楽しく生きましょう」の言葉には拍手が起こった。福嶋孝宏さん、神田光幸さんはスポーツの効能について「社会参加の機会になる」「創意工夫を楽しめるようになった」などと語った。
シンポジウムでは脳に損傷のある千葉絵里菜さん、奥田桂子さん、水口迅副大会長のほか、衣料品の磁石式ボタンを手掛ける川道昌樹さんらが意見交換。意欲や思いを伝える「障害者からの発信」の重要性や、障害のある人が触媒となってコミュニティーが発展する例なども挙げた。
横浜総合病院臨床研究センター長の長田乾さんによる脳の機能についての講座や、神田さんの右手一本による平原太鼓、右上肢まひのある加藤博さんの三味線などの音楽パフォーマンスも。ポスター発表や軽スポーツ体験も好評だった。
同学会の長谷川幹理事長(東京)は「障害の有無を区別しないという趣旨を実行委が実現し、昨年の東京大会を上回る内容だった」と絶賛。菅谷智鶴大会長(新得)は「登壇者の話を聞いて『元気をもらった』という来場者の声が多かった。実行委それぞれの思いを大切にした内容が伝わったと思う」と話した。(松村智裕)