復旧の畑 喜びの春 台風被災 は種こぎつけ
昨夏の台風で被災した管内の農地で、農作物のは種作業が行われている。土砂の撤去や客土が終わり、今春の作付けに間に合った畑で、農家は営農再開を喜びながら作業に励んでいる。
管内では河川の氾濫で農地に土砂が流れ込み、表土が流失する被害が出た。国の災害復旧事業の対象になったのは、帯広や芽室、清水を中心に管内6市町の114カ所、291・6ヘクタール。道によると、客土には河川の掘削土を活用し、うち130ヘクタールが今春の作付けに間に合う計画だ。
芽室町芽室南5線の吉井卓也さん(42)は、被災した3ヘクタールを含む9ヘクタールの畑が影響を受けた。復旧事業の対象にならなかった畑は自前で客土し、春先からこつこつと自分で石を取り除いて春作業に間に合わせた。
復旧した畑には大豆や小豆などを作付けしたが、吉井さんは「見た目は元通りだけど、ちゃんと(作物が)生えてきてくれるかどうか」と不安も口にする。川から運び込まれた土は、元の土と性質や養分が異なる。同じ区画の中で土の色も違い、生育や収量も見通せない。
22日に小豆を植えて、は種作業は終えた。今後は例年以上に畑を見回る必要があり、管理には神経を使いそうだ。吉井さんは「ぜいたくは言えない。今年の営農は無理だと思ったときもあるので、ここまで来られたことに感謝」と話し、これからの生育管理に表情を引き締めていた。(安田義教)