施策「進展」全体の92% 帯広市まちづくり通信
帯広市は、2015年度の政策・施策評価報告書「まちづくり通信2016」をまとめた。第6期総合計画(10~19年度)で掲げる50施策の進捗(しんちょく)を、A~Dの4段階で評価したもの。「進んでいる」(AとB)が前年度に比べ2項目増えて全体の92%に相当する46施策に上った。一方、「あまり進んでいない」(C)は4項目で1項目減ったが、いずれも10年度から一度もC評価を抜け出せない施策が並ぶ。
施策ごとに掲げた「成果指標」と市民アンケートによる「市民実感度」に、客観的なデータなどを加えて総合的に評価した。
Aは前年度比3項目増。「防犯の推進」の市民実感度はb評価だが、犯罪発生件数の減少など客観データを考慮して評価を上げた。「工業の振興」も製造品出荷額が伸びていることなどから、市民実感度はb評価ながらA評価とした。「墓地・火葬場の整備」は、中島霊園の貸出区画数が目標を下回ったものの、合同納骨塚整備などで市民実感度が向上していることを受けて評価を上げた。
「保健予防の推進」はAからBに評価を下げた。市民実感度がやや下がったことに加え、がん検診受診率の低下や、糖尿病の疑いのある人の割合が高いことなどが課題として挙がる。
C評価が続いていた「雇用環境の充実」はB評価に。建設や介護、医療などの分野を中心とする全国的な人手不足を受け、十勝でも有効求人倍率が上昇していることを反映した。ただ、雇用のミスマッチから市民実感度はcと低い。
C評価の4項目は固定化しているが、「産業間連携の推進」では、成果指標の1つの「食料品製造業の付加価値生産性」が上昇している他、食品加工技術センターの相談件数が堅調に推移するなど、改善の兆しも見られる。「中心市街地の活性化」でも、旧イトーヨーカドービルの再開発事業が動き出した機会を捉えた施策が進められれば、改善の余地はありそうだ。
一方、「高等教育の充実」は、新たな大学などの設置に見通しが立たず、市民実感度も低いまま。「地域コミュニティの形成」も、町内会加入率の低下に歯止めが掛からない現状では改善の見込みは薄い。
全体では、市民実感度より総合評価が高かったのが17項目だったのに対し、実感度より厳しく評価したのは2項目。「お手盛り」との批判を受けないためには、市民の実感につながる施策を進め、施策の効果を市民に丁寧に説明することはもちろん、実感と乖離(かいり)のない目標の立て方も求められそうだ。
市政策推進部では「人口減少社会を迎えていることもあり、次期総合計画の策定に向けては、成果指標の在り方も検討する必要がある」としている。(丹羽恭太)