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帯広空襲10年ぶり証言集 語る会計画

「今回が最後になるという決意で、しっかりと証言集作成に取り組みたい」と話す青柳さんと吉澤さん(右から)

 戦争の悲惨さを後世に語り継ごうと活動する地元の市民団体「帯広空襲を語る会」は、第5集となる「証言帯広空襲」の発行を計画している。第4集から10年ぶりで、帯広空襲の体験者で世話人の一人、吉澤澄子さん(82)=帯広=は「前回で最後と思ったが、戦後70年が過ぎ、改めてまとめる必要があると感じた」と話す。空襲はもちろん、戦中の暮らしや軍隊との交流など、十勝に住む人と戦争との関わりを広く「証言」として募集する。

 帯広空襲があったのは太平洋戦争末期の1945年7月14、15日。子供などが犠牲になり、被害家屋は少なくとも123戸が確認されている。同会は82年に結成。毎年7月に語る会を開いてきた他、空襲現場となった現・市総合体育館前に記念碑を建立し、記念式典も続けている。2年前からは聞く会も新たに企画するなど、“風化”させないための活動をしてきた。

 証言集作りもその一環。85年に第1集を出し、以後、会結成10年の91年に第2集、戦後50年記念で95年に第3集、2006年に第4集を発行。語る会などで培ったネットワークから、同空襲だけでなく、戦地などでの壮絶な体験などを広くまとめてきた。「証言者世代の年齢や新たな掘り起こしなどを考え、『第4集を最後に』と編集に取り組んだ」と、6人いる世話人の一人で吉澤さんの甥の青柳雅哉さん(52)=幕別=は説明する。

 今回は来年以降の出版を目指し、戦地や空襲の体験に加え、戦争前後の市井の暮らしの変化や苦労、戦時中を経験していない人の平和への思いなどを募集する。高齢で原稿が書けない人には、世話人らが訪問して聞き取る。

 青柳さんは「戦後70年が過ぎ、体験を語れる人がいよいよ少なくなる。これまでは話せなかったが、今だから言えるという人たちにとっては、今回が本当の意味で最終の機会。編集協力も含め、多くの人の力を貸してほしい」と呼び掛けている。

 第1回の編集会議は7月17日に予定している。問い合わせは吉澤さん(0155・24・2399)、青柳さん(090・5070・5728)へ。(佐藤いづみ)

     ◇

 帯広空襲を語る会は、今年も7月17日午前11時から「帯広空襲の碑」前(帯広市総合体育館前庭、国道38号沿い)などで記念式と語る会を開く。参加費は弁当代、おやつ代として1000円。また、8月7日にはデイケアセンター「やよい」(市内大通1)で戦争体験を聞く会を開く。聞く会は2014年から行っており、今年も2、3人の体験を聞く予定。

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