来年度から手話を単位化、帯広大谷短大
【音更】帯広大谷短期大学(田中厚一学長)は、手話教育に全学的に取り組む方針だ。今年度の後期から講義を開き、来年度から単位化させる予定。管内では新得、鹿追の両町が既に手話条例を制定、帯広市も条例制定を目指すなど手話を言語として位置付けていく動きがある中で、同短大もこの流れに乗り、地域貢献していく考え。同短大の学生は、4日から帯広を中心に開かれる「第27回全国ろうあ高齢者大会」にボランティアとして参加する。
全国的に見ても十勝の手話に対する動きは早く、新得町が昨年、全国の町村で初めて条例を制定するなど言語としての重要性が認識されてきている。帯広大谷短大は7月にとかちプラザで開かれた「手話フェスティバルinおびひろ」に参加。学生たちが手話コーラスを披露し、会場を感動で包み込んだ。
こうした中、同短大は28日スタートの後期から初めて手話の講義を自由開講する。今年度は単位認定はされないが、手話フェスティバルやボランティアなどに参加した2年生にも受けてもらえるよう配慮する。来年度からは一般教養科目として単位化し、正規の講義として設ける予定だ。
将来的には、福祉や介護など専門職に就く学生だけでなく、日常生活の中でも「手話が使える社会人」の養成を目標に、1人でも多くの学生に手話を身に付けてもらえる環境づくりを目指す。手話講義のカリキュラムなどを担当する同短大の岡庭義行副学長は「学生には社会生活のあらゆる場面で、手話を必要とする人に対応できるような社会人になってもらいたい」と期待する。
一方、全国ろうあ高齢者大会には学生14人がボランティアとして参加する。大会に向けては7月以降、新得町の聴覚障害者養護老人ホーム「やすらぎ壮」(高畑訓子施設長)から、同短大卒業生で聴覚に障害のある伏見景子さん(43)ら職員を講師に迎え、あいさつなどの基本表現を学んできた。大会中は6日に帯広の南町ゲートボール場で開かれるグラウンド・ゴルフ大会で、参加するろう者のサポートをし、その中で手話を使って会話する。
学生の1人で社会福祉科の岩間太希さん(1年)は「難しいが楽しい。大会でうまく会話できれば」と話している。(川野遼介)