平和再考「関心集める昭和史かるた原画展 昭和の歴史教材に 本別」
【本別】町歴史民俗資料館で開催中の「昭和史かるた原画展」が来場者の関心を集めている。元NHKチーフアナウンサーで講談師の神田甲陽(本名・末利光)さん(83)=甲府市在住=が自身の戦争体験などを基に5年かけて制作したいろはかるたで、激動の昭和、特に太平洋戦争を読み解く優れた歴史教材に仕上がっている。
本別空襲を伝える特別展(8月16日まで、町など主催)の併催展。神田さんは1932年東京生まれ。現在は山梨県笛吹市の春日居郷土館名誉館長を務める傍ら、講談師として、自作の講談を通じて戦争体験を語り続けている。
「昭和史かるた」は、昭和の出来事を時系列に48枚の読み札と絵札に年表形式でまとめた。このうち30枚は戦前から戦時中の事柄が占める。読み札の裏にはその出来事の概要を説明する文が書かれている。文は神田さんが考え、絵は元笛吹市御坂中学校校長で画家の宇野五千雄(いちお)さんが描いた。
中学生のとき、疎開先の宇都宮市で空襲を体験した神田さんは「日本の歴史教育は近・現代で終わっている。一番身近で大切な昭和史を勉強していないのは不幸なこと」と制作の動機を話す。構想から5年かけて、今月上旬に完成した。「昭和の歴史、特に戦争の史実は評価が多様。取り上げる事柄の選択や、解説の中立性を表現するのが難しかった」という。
神田さんは「本を1冊出版した気持ち。特に全国の中・高校の教師に読んでほしい。かるたという形なので、家庭や学校、社会教育など多様な場面で活用できる」と普及を願う。
神田さんは15日午後6時半から町中央公民館で開かれる「平和のつどい」で広島、長崎の原爆をテーマにした自作の講談を、16日午前10時からは同公民館で自身の空襲・疎開体験をつづった自叙伝を披露する。昭和史かるたは、ゆうちょ銀行の振替口座(00230-6-55298 神田甲陽)に1300円を振り込むと郵送される。(鈴木裕之)