選手と共にドリフト専用コースを造成 TIS
【更別】十勝スピードウェイ(更別村弘和、TIS)が敷地内に、ドリフト競技を存分に楽しめる専用コースを愛好者と共に建設している。昨年、サーキットコースでの同競技をやむなく中止した経緯があり、「若者が安全に走れる場所を提供したい」と着手した。専用コースは1周約800メートルで6月中にも完成の予定。設計には長年競技に参加してきた十勝の選手らが参加し、随所にドリフトドライバー視点のこだわりが散りばめられている。
ドリフトは若者に人気のモータースポーツ。高速でコーナーに入り、タイヤを回転させながら車体を滑らせ、華麗な走りを競うダンスバトル。TISは1995年からジュニアコース(全長1・7キロ)を舞台に、全国大会にもつながるD1ディビジョンシリーズなどの大会を開いてきた。
ただ、レースの国際規格に合わせてセーフティーゾーン(コース周辺の安全地帯)を大きく取ってあり、観客は競技の様子を近くで見られず「臨場感に欠けていた」(TISの亀井誠志郎所長)。コースの傷みも年々増し「これ以上、続けることはできない」と判断して昨年9月を最後に打ち切り、愛好者はコース脇のスペースで車を走らせるのみとなっていた。
道内では他に2カ所のドリフトコースがあるが、胆振管内白老町のコースは年内閉鎖が決まり、千歳市内のコースも広場にパイロンやタイヤを置いただけの簡素なもの。亀井所長が「ルールを守って楽しむファンを応援したい」とTIS所有者MSF(東京)の梅川真明社長に直訴し、数千万円の事業費で新コースの建設が動きだした。
コース設計は選手側で案を出し、亀井所長が意見を集約した。国内最高峰のD1大会にも出場した辻季英さん(37)=帯広市=は「必要な技術のほぼ全てを磨ける」と自信を見せ、同じく全国大会出場経験のあるベテラン遠藤英樹さん(45)=同=も「観客は下をのぞくようにコース全体を見渡せる。見る側にも楽しんでもらえる」と話す。
コースは昨年9月から、メーンパドックの西側約2・5ヘクタールの土地に造成中。26日には大会開催の候補地としてclub N2H PROJECT(大阪)の竹田茂幸代表も視察に訪れ、「バンク(コーナーの傾斜)があるコースは全国でもここだけ」と評価した。
7月12日には有名選手を招待してお披露目イベントを行う。辻さんと遠藤さんは「仲間の思いが詰まったコースを走るのが楽しみ」と完成を心待ちにする。運営側と利用者が一体となって完成させるコースに、亀井所長は「もう一度、ドリフトが盛り上がるきっかけになれば」と期待している。(小寺泰介)
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