道地方環境事務所がヒナ2羽誕生と発表 十勝管内のシマフクロウ
【札幌】環境省北海道地方環境事務所は21日、絶滅危惧種であるシマフクロウのヒナ2羽が十勝管内の生息地1カ所で誕生したと発表した。生息地保護のため、具体的な場所は公表していない。繁殖目的で保護したシマフクロウのヒナ誕生が確認されたのは3例目で、十勝では初めてという。昨年秋、もともと生息していた野生の雄と保護した雌の個体同士がつがいになり、早速ヒナが誕生したことから、同事務所は「非常に順調」とし、個体数の増加に期待している。
同事務所によると、同地域には2009年生まれの雄1羽が生息していた。10年に釧路管内で交通事故に遭った雌1羽を保護し、釧路湿原野生生物保護センターで飼育していたが、回復と野生復帰が可能と判断した。昨年10月に雌を雄の生息地付近で放鳥し、つがいが利用可能な巣箱2個を設置して観察してきた。
放鳥当初から鳴き交わしが確認されるなど相性の良さが見られ、個体に装着したGPS(全地球測位システム)などでもつがいでの行動が確認されていた。今年3月中旬に巣箱内のカメラで卵2個と抱卵する様子を、今月17日には同事務所委託の生息状況調査員がヒナ2羽の誕生を確認した。性別はまだ不明だが、順調に成長しているという。
環境省は1998年にシマフクロウ野外つがい化促進計画を策定。今後10~15年間で生息地100カ所、個体数200羽の目標を設定し、保護と繁殖活動を続けている。放鳥した個体のつがい化は過去に7例あるが、実際に繁殖が確認されたのは97年の釧路管内(ヒナの数は不明)、12年の上川管内(ヒナの数2羽)に次いで3例目。
ヒナは6月上旬に巣立ちを迎える見込みで、同事務所は足輪の標識を取り付けて行動確認を続ける。同事務所野生生物課の小関ますみ専門官は「道内の生息数はまだ140羽ほどで、目標には届いていないのが実情。今後も具体的な場所と個体を見つけて、保護と繁殖に取り組みたい」と話している。(原山知寿子)
◆シマフクロウ保護の取り組みについて
・シマフクロウ保護に関する最新情報-公益財団法人日本野鳥の会公式ホームページ
◆日本野鳥の会のシマフクロウの保護活動について
・(公財)日本野鳥の会のシマフクロウの保護活動のページ-Facebook公式ページ
◆十勝管内のシマフクロウの保護活動について
・守れシマフクロウ 十勝にも「餌場」候補地-十勝毎日新聞電子版(2014/11/30)
・十勝にシマフクロウ1羽を放鳥 環境省道事務所-十勝毎日新聞電子版(2014/10/18)