被災のプロペラ機、外観ほぼ復元 芽室の福澤さん
【芽室】農機会社フクザワ・オーダー農機(芽室町西8条7)代表の福澤剛志さん(42)が、仙台空港で東日本大震災の津波に襲われた双発プロペラ機「セスナ402B」を、フライトシミュレーターとして再生する作業を始めてから、まもなく2年が経つ。コックピット内部の泥をかき出す清掃作業、壊れた計器類を取り替える作業が進み、被災前の外観を取り戻しつつある。
同機は府中エアサービス(帯広市西7南34、府中道子社長)が1997年に購入。被災後、同社の航空機で飛行体験するSASフライングクラブの会員だった福澤さんが修復に手を上げ、13年1月にコックピット部分を譲り受けた。
福澤さんの元に運び込まれた機体は泥だらけの状態。計器の裏側や床下、天井の隙間にも水や泥が入り込んだ跡があり、被災から2年が経ち、腐食も進んでいた。福澤さんは「小さなねじも腐り、くっついて動かないし、中を開けるとぼろぼろになった計器もあった」と分解作業の難しさを振り返る。
作業は農機製造や修理の仕事を終えてから1人で地道に続けた。操縦桿(かん)を覆うように付いたさびはこすり取り、30個近くある計器は1つずつ取り出して丁寧に清掃した。
今では電気系統も復旧し、外部のバッテリーとつなぐと計器類のランプがともる。「動かない計器もあるが、気圧で測る高度計も反応している」と語る。
現在はコックピット前方の窓などの部品探しに奔走。国内では見つからず、アメリカまで範囲を広げる。機体の操縦桿とフライトシミュレーターの連動などの作業もこれから。「完成にはまだまだ時間がかかりそうだ」という。
陸上自衛隊に所属した経験を持ち、セスナの免許を所持する福澤さん。震災前の機体を見ることはあったが操縦する機会はなかった。フライトシミュレーターとして再生させて操縦桿を握るのが夢だ。「津波の激しさと航空機操縦の楽しさを子供たちに伝えるものにしたい」と話す。(深津慶太)
◆津波被災のセスナ機再生について
・津波被災のセスナ機、シミュレーターで復活へ 芽室の福澤さんが整備-十勝毎日新聞電子版(2013/03/13)