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帯広に天津甘栗が復活 デイサービスさくらが岩一商店の事業承継

利用者のリハビリの一環として「天津甘栗」を復活させるデイサービスさくら。左から清野さん、岡本施設長、生活相談員の藤田麻菜さん

 昨年3月の岩一商店の閉店に伴い、帯広から消えていた「天津甘栗」が今秋にも“復活”する。社会参加型デイサービスさくら(帯広市西16南5、岡本浩二施設長)が同商店の事業を継承し、利用者がリハビリの一環として、甘栗作りや販売に携わる。秋にも施設内に店舗を構えて営業を始める予定で、半世紀以上にわたって市民に愛されてきた味がよみがえる。

 同商店は1958年に岩寺良紀さん(81)が西2南9に開店し、焼き栗の甘味と香ばしい匂いで永く市民に愛されてきた。岩寺さんから店を引き継いだ義弟の小林昭夫同商店社長が一昨年に病に倒れた後も、「帯広から甘栗を消したくない」と岩寺さんが店頭に立っていたが、高齢のため閉店を決断した。

 「花」(帯広、久保陽一社長)が運営するさくらは、2006年に「機能訓練重視型デイサービス」としてオープン。12年から「社会参加型」に名称変更した。利用者が生き生きと暮らすためには「働くこと」が必要と考え、以前から「利用者が働ける“素材”を探していた」(久保社長)。昨年2月、新聞報道で同商店の閉店と、後継者を探していることを知った同社社員が久保社長に事業承継を提案、昨年4月に事業譲渡契約を交わした。

 「岩一商店プロジェクト」と銘打った取り組みは、施設利用者に栗の選別や計量、接客などの仕事を通して、生きがいや喜び、誇りを感じてもらう。報酬として商品券などを支給する予定。久保社長は「人は本能的に社会の役に立ちたいという思いがある。お年寄りの希望につながる場所になれば」と期待する。

 同施設の東側を改装し、作業スペースや店舗を設ける。同商店から問屋の紹介を受け、これまで同様に中国東北部の栗を原料とする。栗を焼き上げる釜やショーケースなども譲り受けた。甘栗部門担当の清野真知さん(デイサービスさくら主任)は「お年寄りが帯広の文化を守っていきます」とPRする。

 改装後に、利用者らに甘栗作りのノウハウなどを指導する岩寺さんは「(甘栗作りをリハビリにつなげることは)素晴らしい考え。いい物さえ売ってもらえればそれでいい」と応援する。

 同社では同プロジェクトの企画・運営を担うスタッフ2人を募集している。問い合わせは同社(0155・67・7771)へ。(澤村真理子)


◆帯広の天津甘栗について
編集余録「まちの栗屋さん」-十勝毎日新聞電子版(2013/03/29)
市民に愛された味閉店へ 帯広の天津甘栗 高齢で継続困難-十勝毎日新聞電子版(2013/02/13)

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