帯広空港ダブル化3年 利用前年超え確実
エア・ドゥのとかち帯広空港就航によるダブルトラッキング化(2社乗り入れ)が27日、3年を迎えた。日本航空(JAL)との価格やサービス面での競争が相乗効果を呼び、2013年度のとかち帯広-羽田線の利用客数は前年度を上回るのは確実。2000年以降、過去最高を記録した02年の56万9484人に迫る見通しだ。関係者や利用客からは利便性向上に伴う利用客増加を喜ぶ声とともに、機材の大型化を期待する声も挙がっている。
帯広-羽田線の利用客数は、ダブル化前年の10年度は50万2842人。ダブル化となった11年度以降は増加傾向で、13年度も2月末現在、51万5459人と堅調な利用が続く。
エア・ドゥは11年3月、とかち帯広空港に就航。低運賃を背景に利用客を増やし、11年度は18万1327人、12年度は20万5650人を記録した。13年度も2月末時点で18万8668人と、3年連続の前年超えをうかがう。
JALも今年度、好調な数字を重ねている。11年度は前年の経営破綻による機材小型化やエア・ドゥ就航の影響で、前年度の50万621人を大きく下回る34万8820人。12年度も33万8108人と利用客を減らした。
同社は昨年4月、事前割引運賃(搭乗3日前までに購入)を改定し、価格面で優位性のあったエア・ドゥと同程度の価格に引き下げた。今年度は運賃面の見直しなどが功を奏し、2月末時点で32万6791人と、エア・ドゥ就航後では最多の利用客を記録する見通しだ。
帯広市空港事務所は現状を、「両社が切磋琢磨(せっさたくま)することで利用客が増えていることはありがたい。今後、機材の大型化などで利用客を伸ばす余地はある」とみる。
利用客の増加により、今年度の平均搭乗率は両社共に70%を超える見通しで、一般的に60%程度といわれる国内線の採算ラインを上回る。こうした中、利用客からは「満席でチケットが取れない」といった声も聞かれ、機材大型化への期待も高まる。
エア・ドゥは7月、一部の便で機材を大型化し、観光需要を取り込むほか、10月にも限定的に大型化を予定する。同社広報部は「就航2年間は目標の搭乗率を達成した。帯広は道東唯一の(1日)3便を維持する路線で期待は大きい」と話し、大型機材の導入についても検討課題とした。
大型化はJALの機材小型化に伴い縮小した貨物輸送拡大も可能にする。ある流通関係者は、「新千歳経由で本州に流通させているが、道東道の開通で支障はない」としながらも、「仮に帯広空港から継続的に荷物を送ることができれば、より短時間で高鮮度の商品を届けられ、付加価値の創出につながる」と話す。
日本航空帯広支店の紀野典彦支店長は搭乗率の上昇を前提条件として上で、「機材の大型化なども検討していかなければならない」と可能性を示す。
8月にはJALがとかち帯広-中部国際(名古屋)線を運航するほか、両社は行政と協力しての十勝の情報発信にも精力的で、十勝を取り巻く航空事情は活性化が進む。
今後、東京線のさらなる利便性向上には、地域挙げてのこれまで以上のバックアップが求められる。
(土屋航)