本別の豆、台湾で好評 健康志向の富裕層にニーズ
【本別】町特産の豆と豆加工品の販路が、台湾の高級スーパーに広がっている。JA本別町(田中敏行組合長)が大豆を輸出したのをきっかけに、本別産のこだわり納豆、みそ、しょうゆなどの加工品にも注目が集まり、健康志向の台湾の富裕層に受け入れられている。
同JAは昨夏、大豆の主力品種「ユキホマレ」5・4トンを、台湾・台中市の高級スーパー「裕毛屋(ゆうもうや)」に初めて輸出。現地で無添加の豆乳に加工し販売されている。
1月にJA職員が訪台した際には、土産で持参した山口醗酵食品(町南2、山口絢市社長)の納豆にスーパー役員が注目。今月上旬の春節(旧正月)に合わせて10種類、200個の注文があり、好評だったため再注文があった。同社はこの1カ月で3回に分けて、1100個を出荷した。
同社の納豆は、本別を中心に十勝産の豆を使い、全て手詰めにこだわっている。他社製の納豆よりも割高だが、豆を好む食文化がある台湾で富裕層が買っている。札幌の百貨店や本州の通販業者への出荷実績はあるが海外は初めて。山口社長は「安定的に数が増えていくなら魅力的な販路だと思う」と話す。同町では渋谷醸造(町共栄、岡田清信社長)のみそとしょうゆも同スーパーで販売されている。
本別産の豆や加工品の品質や客の反応について、「裕毛屋」の商品を取り扱う商社「裕源(ゆうげん)」(神奈川県)は「手作りの良さがある。台湾では納豆を食べる習慣はなかったが、健康志向で認知度が上がり、入荷した商品し全てなくなる状態」と話している。
同JAでは、裕毛屋の要望で1月中旬、豆腐作りを指導するため職員が現地で技術指導。本別産の大豆や黒豆を原料に作った木綿豆腐が店頭に並んでいる。
豆腐は豆乳に比べて使用する大豆の量が多いだけに、同JAでは台湾での消費拡大に期待を寄せる。同JAの今井範行参事は「『こだわり』や『手作り』といったコンセプトが台湾のお客にマッチしている。信頼関係ができつつあり、大豆の取引の拡大につながればいい」と話している。(安田義教)