術後のリハビリ経て快走誓う フードバレーマラソン出場の片石さん
ランニングの愛好者団体「帯広ランナーズ」会長の片石祐一さん(70)=飲み食い処さぶ(帯広)オーナー=が、大腸ポリープの手術からのリハビリを経て、11月4日のフードバレーとかちマラソン(実行委員会主催)に出場する。片石さんは「もう走れなくなるかもしれないと思った。健康や家族、仲間のありがたみが身にしみて分かった」と振り返り、感謝の気持ちで晩秋の帯広を駆け抜ける。
片石さんは、十勝のランニング愛好者の間では有名な健脚の持ち主。JR東日本に勤務していた45歳のときに、減量のために運動を始めた。最初は皇居の周りをウオーキングしていたが、いつしかランニングが習慣となった。55歳で帯広に移り、家族が経営していた居酒屋で毎晩厨房(ちゅうぼう)に立つ傍ら、午前中に20キロほどの走り込みを続けてきた。
健康そのものだったが、1月の人間ドックで大腸のポリープが見つかった。妻の春代さん(68)は「最悪のことも考えた」と振り返る。再検査の結果悪性腫瘍ではなく、4月に内視鏡手術を受け、1週間ほどで退院した。
術後の経過は順調で、まもなくジョギングを再開し、リハビリを兼ねて5月末から大会に出場し始めた。北海道マラソン(8月)では70歳以上の部で2位、函館のハーフマラソン(9月)や岩手県でのフルマラソン(10月)で同部優勝と、見事復活を遂げた。
1番うれしかった大会は函館ハーフマラソン。居酒屋のお客さん17人が応援隊となり、現地まで励ましに来てくれた。今季初優勝を狙って快調に走っていたが10キロすぎに腹痛に襲われ、トイレに駆け込んだ。それまでの首位の座を奪われ、トップは約400メートル先に。懸命にペースを上げて19キロ付近で追い抜いた。沿道の「マスター、頑張れ」の大声援が心地良かった。
1時間41分16秒でゴール、63人の頂点に立った。「支えられているんだと改めて強く感じた」と笑う。スタート前には、親交のある元陸上自衛隊第5音楽隊隊長の柳田明さん(埼玉県在住)が、客席でトランペットを演奏してくれたという。
10月20日の10キロロードレース(札幌)も制するなど調子は上向きだ。フードバレーとかちマラソンで、大勢の知り合いの前での快走を誓う。「優勝は難しいかもしれないが、そのときのベストを尽くす」と張り切っている。(北雅貴)