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歴代支局長―広尾を語る まちマイ広尾編

広尾赴任時の思い出を語り合う児玉、長田、吉良の各元支局長(左から)

 住民と共に地域で暮らし、町のさまざまな話題を発信している十勝毎日新聞広尾支局。現在は本社に勤務する同支局長経験者3人が集まり、広尾勤務当時の思い出などを語った。

     ◆

美味や動物豊富に
危機感、幾度も乗り越え


 長田 私は一番新しくて今年の7月までお世話になった。広尾に行ったのはちょうど十勝港第4ふ頭のコンビナート建設が決定した時期。町も明るい感じで、楽しく過ごすことができた。広尾と言えば、水がとてもおいしいんですよ。

 吉良 確かに。川の水で冷たかったよね。水だけでなくお酒も進んだのでは。

シシャモも絶品
 長田 いやいや。広尾はとにかくおつまみがおいしい。シシャモに始まり、春のトキシラズ、夏にはイカ、秋のサンマ、冬はカニ…。ウニと一緒に取れるナマコみたいなやつもおいしい。切ってウニと和え物にして…。

 児玉 ムイ(オオバンヒザラガイ)だね。

 長田 水も空気も食べ物もおいしく、体重が5年で5キロ増えた。飼っているネコまで2キロ太った。

 吉良 「八幸」の600円弁当はうまかった。焼いた八角を初めて食べて感動したのを覚えている。

 長田 動物がいっぱいいるのも個人的には好きだった。キツネが支局にエサを隠す穴を作り、「外を見ろ」と電話があって見ると支局のロータリーをシカがぐるぐる走っていた。取材でクマの写真も撮ったが、車の前に急にトコトコ出てきてあれは怖かった。

 吉良 自分がいた時は町長が長年務めた泉(耕治)さんから大野(進)さんに代わった。6期24年務めたベテラン町長が交代したこともあって議会の雰囲気が変わり、議論がより活発になり、ユニークな議員さんも多くて…。夜に街に出て一緒になると熱い話を聞いたのが懐かしい。

 時期的にはフェリーがなくなり、港も期待していたほど入港が増えず、ちょっと沈滞した感じ。人口も減り始め、何とかしなきゃという雰囲気だった。

 児玉 僕の時にも何とかせねばと危機感があった。当時を思うと今は活気づいてるなと思う。

 吉良 あと思い出と言えば、息子が生まれたのが広尾。産科がないから、かみさんがバスで帯広まで健診に通った。町の人に「いざという時は救急車呼べばいいから」と言われたけど、さすがにそうはいかない。

水族館の人気者
 児玉 僕は行ったらちょうど水族館が閉園の時だった。最後の半年間、毎日にように行って館長たちと話した。動物たちがかわいそうで…。トドのゴン太は行くと目を合わせてくれた。

 長田 ゴン太は国内最高齢の32歳まで生きた。2009年に死んだときは多くの町民が水族館を訪れた。

 吉良 自分の時はお絵かきアシカのミミちゃん。賢かったな。

 児玉 網に迷い込んだりしたアザラシのレスキューもやっていた。それがかわいいんだ。

 吉良 まだ子供のアザラシはグレーの毛がふさふさなんだよな。

 児玉 海に帰すと最後に一回こっちを振り返って見るんだ。それが手を振ってるように見える。楽しかった。自分は山育ちなので広尾暮らしは新鮮だった。

 吉良 取材では音調津の海浜留学も懐かしい。全国から子供が来ていて面白かった。昆布干しや缶詰づくりの取材に行った。

 児玉 音調津小学校がなくなったときは地元の漁師の人が泣いていた。

 長田 取材の思い出では、東日本大震災の津波。ちょうど港にいて写真を撮っていたら足元にまで波が来た。今思うと危なかった。

 児玉 ずっと続いているサンタメールだが、郵政民営化の時に全国の郵便局にチラシを断られたことも。民営化はサンタにも冷たいんだなと思った。

クリスマス実感
 吉良 時期になると町にサンタメールのポスターが張り出され、クリスマスなんだと実感できた。今は「恋人の聖地」になって外からも人が来る。ぜひ一度行ってみると面白いと思う。

 参加者(広尾支局赴任年と在任年数、現職)

 吉良敦 1997年から4年、販売局販売部長

 児玉匡史 05年から2年10カ月、編集局副編集局長

 長田純一 08年から4年11カ月、政経部記者

 

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